《食いこ》イタリアンレストラン 楽生流(らうる)(茨城・常陸太田市)
■本場の味でおもてなし
南米コロンビア出身のオーナーシェフ、ラウル・ピネダさん(39)が切り盛りする、本格ピザとパスタの店。故郷から遠く離れた茨城県常陸太田市で、多くの人に本場の味を届けようと日々奮闘している。
ラウルさんは20代前半でイタリアに渡り、料理の専門学校で学びながら、各地を食べ歩いて知識を深めた。その後スペインやアメリカの飲食店を渡り歩き、2009年に来日。都内の有名ピザ店やホテル内のレストランなどでも腕を振るった。
結婚し、子どもが生まれたのを機に自然豊かな田舎への移住と、長年夢だった独立を決意。妻、奈巳さんの母親の出身地である同市に一家で移り住み、約1年半の準備期間を経て、20年3月に店を開いた。
慣れない土地での独立や暮らしに不安はあったが、「地域の人たちが温かく迎えてくれた」。持ち前の明るさとコミュニケーション力で、徐々に周囲に溶け込んでいった。
店では「料理だけでなく、ホスピタリティーも大事にしている」とラウルさん。配膳する際は、料理一つ一つを丁寧に説明し、食後は率直な感想を尋ねる。おいしさと質の高いサービスの両立を志し、そのかいあってか、口コミで評判が広がり、リピーターも増えた。地元客だけでなく、観光客もよく訪れ、「地域の盛り上げにつながればうれしい」と話す。
看板メニューの「マルゲリータ」は、手作りしたピザ生地に、トマトのホールとペーストを1対1で合わせたオリジナルソースを使うのが売り。その上に同市のチーズ工房で作られたモッツァレラチーズやバジルを載せる。ピザを焼き上げる石窯は、サクラの木のまきを燃やして焼くため、香りよく仕上がる。
ほかにも、パスタやコロンビアの家庭料理にアレンジを加えた「カルネ・アサーダ(牛肉のステーキ)」などの期間限定品も提供する。ハーブの香りと、煮込んだ豆料理を添えるのが特徴だという。料理を全て細かくして混ぜ、付属のサルサソースをかけて食べるのがお勧めだ。
世界各国で磨いた料理の腕と、心のこもったおもてなし。培ってきた経験を生かし、ラウルさんは地域を明るく盛り立てている。
■お出かけ情報
イタリアンレストラン楽生流
▽常陸太田市中利員町2975の2
▽営業時間はランチ午前11時~午後3時、ディナー(予約制)午後5~9時。ともに1時間前ラストオーダー。月・水曜はランチのみ。
▽定休は火曜。
▽(電)050(1136)7374