「平和、反戦 今伝える」 群馬・館林市遺族会が10日から市役所展示 軍服や千人針、解説パネルなど《戦後77年》
群馬県の館林市遺族会(森田博子会長)は10日から18日まで、戦地などで亡くなった家族の遺品やパネルを市役所市民ホールで展示する。会員の高齢化が進む中、ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、「平和、反戦のために今伝えられることをしたい」(森田会長)と、終戦77年を節目として企画した。
展示は、旧日本軍に所属し戦地や訓練で亡くなった人の遺族11人が、軍服や日章旗、千人針などの遺品30点余りを持ち寄る。併せてパネル20点を掲示し、戦死者の人柄を写真や説明文、戦地からの手紙で紹介する。
森田会長(80)の女性部長時代に女性部による展示をしたことはあったが、遺族会全体では初めて。「戦死者の妻は亡くなり、子の世代も高齢化している。一年一年が大きくなっている」と森田会長。終戦80年の2025年に向けて計画していた展示を前倒しした。
現女性部長の希代壽子(きたいひさこ)さん(79)の父、壽夫(としお)さんは壽子さんが生まれる直前の1943年9月、茨城県の鉾田陸軍飛行学校で訓練中に墜落し32歳で亡くなった。教官として訓練生と夜間飛行中だったという。残された軍服や双眼鏡、千人針などを提供する。
森田会長の父、栗原丑一(うしいち)さんは45年7月にフィリピン・ルソン島で32歳で亡くなった。3歳で死別したため父の記憶はなく、2004年に現地へ慰霊に訪れた際に初めて「お父さん」と呼んだという。「さぞ無念だったと思う。現在の繁栄は多くの犠牲の上に築かれたことを、多くの市民に気付いてもらえれば」と展示への来場を呼びかけている。