星野リゾートが谷川岳ロープウェーを買収 山のブランド力向上し内外へ発信
国内外で宿泊事業などを展開する星野リゾート(長野県軽井沢町)は12日、谷川岳ロープウェイ(群馬県みなかみ町)の運営会社「谷川岳ロープウェー」を買収したと発表した。2023年4月から自社名を冠した運営に切り替え、交通アクセスの良さや雄大な自然を抱える谷川岳の魅力を発信し、山の持つブランド力の向上を目指す。同社の県内での施設運営は初めて。県や町と連携しながら、谷川岳を拠点に地域の魅力発信にも取り組む考えだ。
同社は来年4月までを準備期間と位置付け、客層やニーズの把握、事業計画作りを進めている。ロープウェイ山頂駅にあるレストランや、敷地内のハイキングコースの整備などを予定しており、具体的な展開は今後詰める。谷川岳ロープウェーが他に所有する天神平スキー場(同町)、榛名山ロープウェイ(高崎市)の事業展開については「谷川岳ロープウェイ」の名称変更と合わせて検討中とした。
12日の記者会見で、星野佳路代表は谷川岳が「魔の山」といったマイナスイメージが先行し、東京から車や新幹線を利用して約2時間のアクセスの良さなどが十分に伝わっていないと説明。魅力を掘り起こし、国内外に発信する「山のリブランド」を目指すとした。また、自身がバックカントリースキーの愛好者だとして現地の雪質を評価し、「あまり発信されてこなかった雪深い冬のシーズンについても、対策をしながら売り出したい」と意気込んだ。
新たな宿泊施設の整備は温泉街があるとして否定的だが、「エリアのプロモーションに参加したい」と述べ、周辺エリアの魅力発信に意欲を示した。
同社の発表を受け、地元の観光や宿泊施設などの関係者は今後に期待感をにじませる。町観光協会は「観光業のプロとして、谷川岳の活性化に寄与してもらえるだろう」と歓迎。みなかみホテルジュラクの小金沢公夫・総支配人は「町を積極的にアピールしてもらい、アジアに加え、欧米のインバウンド(訪日外国人客)も引っ張って来てほしい」とする。
町商工会の入内島一崇会長は「従来型の開発ではなく、ユネスコエコパークにも登録された自然景観を生かしながら、グローバルなものにしてほしい」と願った。
詳細はこちら