桜川で真壁高生 ヤマザクラ保全へ調査

茨城新聞
2016年10月7日

山々などにヤマザクラが多く自生する桜川市で、地元の県立真壁高校(同市真壁町飯塚、植木邦夫校長)の生徒が、ヤマザクラの保全・保護に向けた調査を始めた。11月にかけて計8回、桜川磯部稲村神社(同市磯部)や磯部桜川公園(同所)の桜一本一本について、枯れていないか、病気がないかなどを樹木医の指導を受けながら調べる。生徒は調査結果をまとめて管理者に報告。それを受け市や神社は今後の保全活動に生かしていく方針だ。

桜の調査は、市と同高が結ぶ「官学連携に関する協定」に基づく事業の一環。地元の高校生にヤマザクラに興味を持ってもらうことで、将来の保全に携わる人材の育成につなげるのも狙いの一つという。

同神社には約40本、同公園には約860本の桜がある。ヤマザクラは、国指定名勝となっているほか、11種の桜が天然記念物に指定。9月21日に行われた初めての調査では、同神社の磯部亮宮司が桜の歴史などについて生徒に説明した上で、「ここの桜はここにしかない特別種。地域の資源として受け継いでいってほしいというのが神社の願い」と語り掛けた。

この日参加したのは、同高環境緑地科造園コースの生徒7人。同科の社会人講師で樹木医、古谷孝行さんの指導を仰ぎながら、樹高や幹の太さのほか、腐朽や空洞、キノコ、枯れ枝がないかなどを協力して一本ずつ調べていった。

ヤマザクラは11月にかけ、同神社の全てと同公園の一部を調べていく方針。磯部宮司は「樹木自体の調査は今まであまりやっていなかったので、ありがたい」と話した。

古谷さんは「個々の木がどういう状態なのかデータを集めていき、管理者である宮司さんや市に今後の管理の指針として使ってもらいたい」とし、「ゆくゆくは花の研究もしていければ」と生徒を見守る。将来的には山の中に入り、自生するヤマザクラを調べることも検討するという。

同高3年の坂入浩平さん(17)は「桜をずっと見られるように今のうちに調査して対策を考えていきたい」と話した。

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