《真田紀行》伊香保温泉 負傷者癒やした湯 

上毛新聞
2016年5月9日

ㅤゴールデンウイークを迎え、観光客でにぎわう伊香保温泉石段街(渋川市伊香保町)=写真。全国にその名を知られる名湯だが、戦国武将の真田氏とのつながりを知る人は多くない。
ㅤ1575(天正3)年の長篠の合戦で、織田信長、徳川家康の連合軍に敗れた武田勝頼がその翌年、負傷者の傷を癒やそうと求めたのが伊香保の湯とされ、この地を統治する真田昌幸により、源泉を各浴舎に引湯する現在の形に整備されたと伝えられる。
石段脇に残る石垣や伊香保神社手前で敵襲を防ぐように「くの字」に曲がった道は、この地に刻まれた戦国の記録だ。「かつては負傷者を癒やすだけでなく、上杉や北条の進攻を見張る場所、箕輪城を守る砦(とりで)の役割も果たしていた」と元伊香保町役場職員の関靖さん(59)は話す。
立ち上る湯煙の中に戦国の記憶がよみがえる。

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