ホラーすら似合う風格 【とちぎロケ地巡り】岡部記念館「金鈴荘」(真岡) 映画「来る」

下野新聞
2021年6月21日

 静けさに包まれた縁側。ガラス戸の向こうには、夏を思わせる日差しと緑が広がっている。

 真岡市荒町で、ひときわ堂々とした風格を漂わせる岡部記念館「金鈴荘」。同館の縁側で、2018年公開の映画「来る」のロケが行われた。

 映画は正体不明の化け物につかれた一家と、関わったオカルトライターや霊媒師らが次々に怪異に襲われるホラーエンターテインメント作品。人間の心に潜む闇にも焦点をあて、毒気のあるユーモアを交えて描く。化け物に狙われる男・田原秀樹(たはらひでき)役を妻夫木聡(つまぶきさとし)さん、妻役を黒木華(くろきはる)さんが演じた。

 縁側は、田原が祖父の法事のため帰郷した場面で登場。田原の祖母が真っ暗な庭を指して「呼ばれた」と何者かの気配を示唆するシーンや、婚前の田原と妻のやりとりが撮影された。

 もおかフィルムコミッション事務局の磯野友紀(いそのゆき)さんは「(制作陣が)古く大きな家を探していたので紹介した。ロケの日は雨の演出をする予定でしたが、本当に降ってきたんです」と当時を振り返った。

 金鈴荘は同市で呉服店を営んでいた「岡部家」の当主が、明治時代に十余年の歳月をかけて建てた別荘だった。縁側には気泡入りの古く貴重なガラス戸があしらわれ、日光杉の梁(はり)が通っている。

 当時は接待や呉服の展示に使われ、その後1988年まで料亭「金鈴荘」として営業。役割を変えながらも、長年にわたって人々をもてなしてきた。

 2000年には県指定有形文化財となった同館。先人が残した古き良き文化や歴史を守り、訪れる人たちを魅了し続けている。

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