《食いこ》らすく工房 美.Sekiyama(土浦市) 古民家で一枚一枚手作り

茨城新聞
2021年4月15日

国道から細く曲がりくねった道を進むと、程なく道路際にオレンジ色の小屋が見えた。茨城県土浦市の「らすく工房 美.Sekiyama」=関山美代子代表(64)=は小さな店だが、そこで販売される焼き菓子、ラスクの人気は高く、知る人ぞ知る逸品だ。新型コロナウイルス流行下にあっても「来店が増えた印象。巣ごもり需要でしょうか」と関山さん。

薄くスライスしたフランスパンに、地元土浦産の蜂蜜をからめたグラノーラ(麦、トウモロコシ、ナッツなどの穀物加工品)やアーモンドを載せて焼いた「女神のらすく」は特に好評で常連の他、週末にはネットや口コミで知った県外からの客も珍しくない。贈答品としても人気が高く、黒糖、コーヒー、ココア、抹茶、紅茶など8種類のフレーバーが楽しめる「天使のらすく」には固定ファンも多い。

焼き上がった「はちみつアーモンド」と「はちみつグラノーラ」

 

関山さんにとって菓子作りは趣味だった。子育てが一段落したのを機に本格的なラスク作りを考えるようになり、同工房を2012年に設立。築170年の生家を改装して製造、販売を始めた。17年には写真の店舗を建てた。

薄切りのパンをオーブンで素焼きし、生クリームとバター、グラニュー糖などを加えた各種フレーバー液につけ、再びオーブンで焼き上げる-というのがおおよその製法。「何も難しいことではありません」と関山さん。しかし書くとシンプルだが、パン切りから焼き上げて袋詰めするまで、一つ一つの工程全てが手作り手作業で、効率よい製造方法は、繰り返した失敗の中から獲得していった産物。

材料の配合、焼き時間と温度などにしても試行錯誤を繰り返し、さらにおいしく、さらに香り豊かに、そしてオリジナリティーをと追求した。

さくさくとした食感、ほんのり上品な甘さなど「イメージ通りに仕上げる最適レシピを見いだすのが大変で、好きなだけでは続けられないと思った」と振り返る関山さんだが「苦労したという気はしない。これからもあまり手を広げずやっていきたい」とも。

欲張らず、趣ある古民家で一枚一枚丁寧に手作りし、小さいながらも自前の店で客を迎えて売るという、至極まっとうな考えがそこにある。

お出かけ情報
らすく工房 美.Sekiyama
▼住所は土浦市中村西根1601
▼営業時間は午前10時~午後6時
▼定休日は月、火、金曜日
▼(電)029(842)9742

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