平和の尊さ伝える 軍靴や外套、23点初公開 日立市郷土博物館企画展

茨城新聞
2020年6月18日

終戦から75年を迎えるのを前に、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えるギャラリー展「戦中戦後の新収蔵資料」が、日立市宮田町5丁目の市郷土博物館で開かれている。日米英の軍用機識別図表や片方の軍靴、上着である兵用外套(がいとう)などの実物資料と、戦時下の市民の暮らしや日立空襲の被害を記録した写真が展示されている。7月26日まで。

同博物館は2015年から毎年この時期に、戦災関係の企画展を開催している。市内は1945年6月から7月にかけて、米軍から1トン爆弾や艦砲射撃による激しい攻撃を受け、工場群と市街地は壊滅。1500人を超す犠牲者を出した。

今展は、近年収集した実物資料計24点を展示、うち23点が初公開だ。関連する市内の写真計30点を並べ、より理解が深められる工夫をした。

軍用機識別図表は、軍用機83機の種類と特徴が記されている。空襲を見張るために設置された川尻監視哨の勤務日誌とともに紹介している。

軍靴や外套は、同市から出征し、太平洋戦争の激戦地となった硫黄島で戦死した旧日本海軍上等水兵の遺品。5年前に硫黄島で見つかり、市民から寄贈を受けた。

このほか写真パネルでは、攻撃を受けて鉄骨がむき出しになった工場、焼け野原になった街、長崎原爆と同型の模擬原爆が爆発する瞬間などが、市内の惨状を伝えている。

同博物館職員の萩原明子さんは「戦争を経験した人が少なくなる中、興味関心を持つきっかけにつなげたい。生きた証しである資料から、平和の大切さを感じてほしい」と話している。

同博物館は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月5日から約2カ月以上にわたって休館していたが、5月18日に再開した。

特別展示室では収蔵資料展「スポット!-博物館を再発見-」の会期を延長し、7月5日まで開催中だ。縄文土器や絵画など計約20点をスポットライトのみで照らし、普段とは違った見方を紹介している。

開館時間は午前9時半から午後4時半まで。問い合わせは(電)0294(23)3231