《食いこ》酒と肉の店 松かた(稲敷市) 地元産極め、地域活性化へ

茨城新聞
2019年2月10日

稲敷市の「酒と肉の店 松かた」は、筑波山麓で育った黒毛和牛、同市産のチーズやマッシュルーム、つくば市の農園が無農薬栽培するベビーリーフなど地元産中心の食材がそろう。「食いしん坊」を自認する店主の篠原大樹さん(43)がほれ込んだものばかり。

肉卸業でもある篠原さんは「松かたシャルキュトリー」も営む。ハムやベーコンなどの肉加工品を企画し、こだわりの製法で加工を委託、店で販売、提供する。シャルキュトリーは食肉加工品のこと。「味のバランスがよく、脂もおいしい」と言う千葉県の銘柄豚「林SPF」のソーセージはロースやバラなどすべての部位が入り「立体的で複雑な味になる」。SPFは特定の病原菌がないという意味の略称。

「稲敷は面白い食材が多い。地元産を極め、熱のある生産者と地域を盛り上げたい」と篠原さん。新利根チーズ工房と「メードイン稲敷」のソフトクリームを共同開発した。放牧飼育の牛乳とその牛乳で作る同工房の「フロマージュ・ブラン」、チーズを作るときに出るホエー(乳清)ときび砂糖で煮詰めたキャラメルが、すっきりとした甘みを生み出す。乳化剤や安定剤などの添加物は入れない。「食べ応えがありジューシー」と言う同市産「かくま豚」を市内の施設でソーセージに加工し、篠原さんが販売する「稲敷だけで完結する」一品の開発中だ。

同店は肉料理を中心に「素材のよさで勝負」。「芸術品」と絶賛する黒毛和牛「つくば山麓飯村牛」のステーキは部位で焼き方を変えている。

今年から金曜、土曜の日中、「肉屋のカフェごはん」として店を開ける。10食限定の「いなしきプレート」はマッシュルームのポタージュやミニソフトクリーム、松方シャルキュトリーのハムやソーセージなど同市ゆかりの食材をワンプレートで提供する。

肉卸業と掛け持ちしていた会社員時代、飯村牛を食べ衝撃を受け、生産者に取り扱いを直談判した。2017年から肉卸業に専念し、同店を開いた。「生産者のポリシーを代弁するのが飲食店」と直接会って生産者から食材への熱い思いを受け取るのが流儀だ。

■お出かけ情報
酒と肉の店 松かた
▼住所は稲敷市角崎1649の4
▼松かたは1日1組限定の完全予約制。肉屋のカフェごはんと松かたシャルキュトリーは金曜・土曜の午前11時~午後4時(なくなり次第終了)。
▼(電)0297(75)3650

【図表】
酒と肉の店松かたの地図

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