行方に飛来 コウノトリ2羽、仲良く羽休め

茨城新聞
2018年9月2日

8月15日、国の特別天然記念物のコウノトリ2羽が行方市内に飛来。目撃した市民から本紙に情報が寄せられた。若い2羽が餌を求めて飛来し、羽を休めていたようだ。

複数の目撃情報によると、同市手賀の霞ケ浦湖岸から約100メートル東側、水田に30メートルほど離れて立つ2本の電柱の上に1羽ずつ止まっていた。住民が次々と見に来たが、あまり動かず、風に吹かれるまま、たたずんでいたという。

翌朝、1羽が飛び立つと、追うようにもう1羽も飛び去ったが、その後も周辺で目撃された。同市の実家に帰省中だった石岡市総社の河野裕美子さん(37)は、1羽が羽を広げる様子を目撃し「大きくて迫力があった。みんな驚いて見ていた」と話す。

国内の野生のコウノトリは1971年にいったん絶滅。現在は、主に兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園が保護・繁殖活動を続け野生復帰を図っている。2005年に放鳥を始め、野外の生息羽数は142羽と年々増加している。

行方市手賀の石田博さん(65)が同日午後6時20分ごろに撮影した写真を同公園が分析。足輪の番号から、2017年4月に兵庫県豊岡市で生まれた雌と、18年3月に千葉県野田市で生まれた雄の「りく」と分かった。日本野鳥の会茨城県の池野進会長(68)は「県内で毎年確認されているが、2羽で目撃されたのは初耳」という。

同公園によると、8日に群馬県邑楽町で、広島県安芸太田町でも2羽一緒のところを確認されている。繁殖年齢は3~4歳で、それまではより良い餌場を求めて旅をするという。同公園は「群馬県からずっと一緒に行動している。今すぐカップルになる可能性は低いが、よほど気の合う2羽なのだろう」。本県では定着した例がない。観察するときは「150メートル以上離れて、驚かせたりしないように静かに見守って」としている。

※写真は石田博さん撮影

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