希少種 カンムリカイツブリ 今年もヒナの姿確認 鉾田・北浦北部

茨城新聞
2015年9月30日

鉾田市の北浦北部で、今年も貴重な水鳥のカンムリカイツブリの繁殖が確認された。初めてヒナが確認された2009年以来、7年連続。例年より1カ月以上遅かったため、関係者を心配させたが、関東地方で唯一繁殖が確認できる湖沼の地位を守った。
確認できたのは9月6日と同16日。親鳥と一緒にヒナ1羽が湖面に浮かんでいるのを、北浦周辺の自然再生を進める会長の川又利彦さん(67)が見つけた。これまでの6年間で27羽のヒナが確認されており、今回で28羽目となった。
カンムリカイツブリは準絶滅危惧種に指定されるなどの希少種。国内では琵琶湖と青森県で少数の繁殖が確認されているだけで、北浦は関東で唯一の繁殖地。貴重な野鳥が生息するなどとして県は昨年11月、北浦北部を鳥獣保護区に指定している。
カンムリカイツブリの繁殖期は3~8月とされ、川又さんらは今年、浮巣(うきす)を作りやすいように湖面に誘導板を設置して人工的に営巣環境を整えた。誘導板で実際に巣作りを繰り返す様子が見られたが、周辺のアシが伐採された影響もあり、9月に入ってもヒナの姿が見えなかった。
昨年は7月下旬にヒナが4羽確認された。1カ月以上遅い繁殖確認に、川又さんは「今年はやきもきした」と胸をなで下ろした。今後は市の天然記念物に指定されるよう、働き掛けていくという

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