記憶につながるアート 造形家の田村さん 山本家住宅で個展 神栖

茨城新聞
2015年10月24日

神栖市在住の造形家、田村紗弥子さん(31)の個展が25日まで、同市奥野谷の築300年の重文「山本家住宅」で開かれている。イワシ漁をする網元の漁家だったという重厚な造りの建物に、先祖が地元で漁師をしていたという田村さんの海や水平線をモチーフにした作品を展示している。
 「建物が持つ記憶と、自分の遺伝子に刷り込まれた漁師の記憶の中の風景がつながる感じがする」と田村さん。愛犬とよく散歩するという地元の須田浜で撮影した海の写真を、障子に貼って光を通して見る作品や、青と白を基調にした横じまが穏やかな海や白波など想起させる油彩の抽象画も並ぶ。浜辺で拾ったホッキ貝を土間に並べた作品などもある。さまざまな手法を使ったアート作品が鑑賞者の記憶にもつながっていくようだ。田村さんは「海を見ると何も考えない自分になれるのがいい」と話す。

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