《食いこ》浜喜(水戸市) 天然だしの魅力伝えたい

茨城新聞
2018年4月29日

平日午前9時すぎの水戸市公設地方卸売市場。想像していた活況はすでに落ち着きを見せていた。仲卸棟の一角にある「浜喜」。かつお節や昆布、イワシの煮干しなど海産を中心にした天然だしと、のりやひじきなどの乾物を取り扱う。

社長の岡部裕昭さん(70)はひたちなか市那珂湊地区出身。父親が始めたかつお節製造業に携わった経験を生かし、20代で市場内に出店。約15年前から「だし司 浜喜」を掲げ、かつお節以外の天然だしにも力を入れるようになった。取り扱う商品のほとんどが国産品。良質なかつお節や昆布などを求め全国を飛び回る。

「天然だしの一番の魅力はおいしさ。化学調味料と比べると味の違いが分かってもらえる。特に子どもさんの味覚は鋭い」と岡部さん。「かつお節ならアミノ酸を豊富に含んでおり、栄養的にも優れている。だしのうま味で塩分が抑えられるので減塩効果もある」とその魅力を挙げる。

かつお節と一口に言っても実にさまざま。原料や製造工程などの違いでだしの味わいや用途が変わる。商品一つ一つに産地や用途などを丁寧に説明した文が添えられていた。煮熱したカツオの切り身をいぶした「荒節」。荒節の表面を削りカビを付け熟成させたのが「枯節」。削り節は「薄削りならだしがさっと取れる。厚削りは煮詰めて濃厚なだしを取る」。

昆布は「浜によって特徴が違う。利尻はうま味があってきれいなだしが取れる。繊維が柔らかい日高は料理に使われる。煮て食べるのがお勧め」。仕入れてから1年以上熟成させた利尻昆布は「ふくよかないい味になる」。

毎週土曜は天然だしと乾物を使った料理の試食を出し、レシピを紹介。第2土曜に開かれる市場の「朝市」では、かつお節削り体験を実施。「懐かしいと大人に喜んでもらっている」と好評だ。第3土曜は天然だしを試飲して、種類を当てる「利きだしクイズ」を行う。

「市場関係者だけでなく、一般の人に天然だしのおいしいさや健康面のよさを広く伝えていきたい」と意気込んだ。

■お出かけ情報
浜喜
▼水戸市青柳町4566、水戸市公設地方卸売市場内
▼営業時間は午前4時半~同10時半ごろ
▼定休は日曜・祝日・水曜(不定)で、市場と同じ
▼(電)029(225)7454

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