金剛力士像修復へ 桜川・雨引観音 東京芸大が搬出

茨城新聞
2017年11月25日

雨引観音として親しまれている桜川市本木の雨引山楽法寺で、鎌倉時代の制作とされる木造金剛力士立像が24日、解体修理のため搬出された。修理を担う東京芸大の研究者と学生らが、2体のうち1体を運び出した。もう1体の搬出は後日、行われる。約3年かけて2体を修復するという。搬出前に川田興聖住職(54)らが法要を行い、安全な作業を祈った。

修復される金剛力士立像は市指定文化財の「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」。寄せ木造りで高さ約2・4メートル。制作者は不明だが、鎌倉時代に造られたとされ、同立像として県内で最も古い部類に入る。2体には何度か修理された跡がある。保護のために赤い塗料が塗られていた。近年は経年変化で、表面に張られた布が剥がれ、接着部分などの傷みが目立っていた。

同日の搬出には、同大大学院保存修復彫刻研究室の小島久典さん(31)と同大生ら12人が参加。2体のうち「吽形」像を慎重に分解し、安置された仁王門から運び出した。修復作業は東京都台東区の同大構内で行われる。費用は約2千万円で同寺が負担する。

小島さんは「像には当時造った人の思いが込められている。歴史を読み解くロマンがある」と話した。川田住職は「(像は)長い間、風雪に耐え寺を守ってきた。修理してもらえるのを大変喜んでいる。修理を通して何か大きな発見もあるかもしれない」と期待を込めた。 

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