《ディスカバーいばらき》イベント列車ゲストが語る(上) マシコタツロウさん

茨城新聞
2017年5月16日

茨城の魅力をビールとともに味わうイベント列車「ディスカバーいばらき号」(茨城新聞社主催、キリンビール茨城支社特別協賛)。20日のJR水郡線運行を前に、ゲストとして同乗する音楽家のマシコタツロウさん、シンガーソングライターの磯山純さんが「ふるさと」や「音楽」について、思いを語った。一青窈さんのヒット曲「ハナミズキ」の作曲者で知られるマシコさん。伸びやかで、ちょっと切なくて、どこまでも優しいあのメロディーも「ふるさとの情景から紡ぎ出された」という。


ふるさとは「持ち運びのできない充電器」のようなもの。両親がいて、気の置けない仲間がいる。心安らぐ所だ。

近所の野山を駆け回り、川遊びをしていた少年だった。父親がジャズを聴き、母親のアップライトピアノもあったので、音楽は身近だった。小学6年の時に買ってもらったキーボードにのめり込んだ。それまで「聴くもの」だった音楽が「創るもの」になった。

「音楽で食べていけたら」という思いは漠然と抱いていた。大学4年時に受けた公務員試験に落ちてしまい、ひたちなか市内でアルバイトをしている時、国営ひたち海浜公園で開かれていた「ロック・イン・ジャパン」の熱狂が風に乗って流れてきた。「自分の居場所はここじゃない」といてもたってもいられなくなり、親を説得して上京した。

一青窈を育てようとしていた音楽事務所の社長から「曲を書いてみないか」と誘われた。バイトで知り合った友人の親戚だった。作曲したデビュー曲「もらい泣き」が当たった。まったくの偶然だが、今振り返ってみると「何とかなる」という根拠のない自信が手繰り寄せた必然だった。

「ハナミズキ」は2001年9月11日の米同時多発テロの直後、「みんなが優しくなれる曲を作りたいね」と僕が作曲し、一青が詞を書いた。メロディーには間違いなく、常陸太田の風景が影響している。

僕の曲は「懐かしい感じがする」とよく言われる。メロディーのベースにはふるさとがある。実家に招いた同業者たちが周囲の景色を見ると、「お前がああいう曲を書く理由が分かるような気がする」と言う。ふるさとを断ち切ったら曲は書けない。

ディスカバーいばらき号にゲスト出演できることを楽しみにしている。ふるさとの情景を背景にした「流動的ステージ」。音楽には、この曲を聴くとあの景色を思い出すというようなことがある。参加する人たちにそんな思い出をつくってもらえたらうれしい。
マシコタツロウ

1978年生まれ。常陸太田市春友町出身、音楽家。同市・茨城町観光大使。茨城放送でラジオパーソナリティーも務める。

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