「陶聖」の崇高な作風 筑西・板谷波山記念館所蔵品展 青磁と白磁31点 茨城
茨城新聞
2025年5月25日

文化勲章を受章した茨城県筑西市出身の陶芸家、板谷波山(1872~1963年)を顕彰する板谷波山記念館(同市甲)で、所蔵品展「波山陶芸の魅力を探る~青磁と白磁~」が開かれている。「陶聖」と呼ばれた波山が手がけた青磁や白磁の香炉、花瓶など31点がそろい、シンプルで清らかな焼き物から崇高な作風を堪能できる。同展は7月21日まで。
昨年9月に始まった10回シリーズで今回が3回目となる。波山が生涯で最も多く手がけたという青磁や、透明釉(ゆう)や不透明釉を使った多彩な表現が見られる白磁を中心に展示する。
青磁の「青磁袴腰香炉」は南宋時代の中国で上質な青磁を生産した龍泉窯の古陶磁をモデルにした作品で、透き通るように淡い青色の釉薬が輝く。白磁の「葆光白磁唐草花瓶」は薄絹で覆ったようなマットな質感が目を引き、「氷華磁牡丹文水差」は鉄分を含む透明釉を酸素が乏しい状態で焼成させ、青みがかった仕上がりとなっている。
波山が日中戦争の戦没者遺族に贈った白磁の香炉や観音像、波山が出来栄えなどに満足せずたたき割った作品の破片を復元したものもある。同館学芸員の滝原梨生さん(26)は「中国の古陶磁を研究したり、いろいろな釉薬を作ったりしていた。波山の研究熱心さが伝わる」と話した。