「男鹿の湯」再開から半年 若女将が奮闘中 日光

下野新聞
2016年10月31日

 経営難で1年9カ月ほど休業していた日光市中三依の温泉施設「男鹿の湯」が4月に営業を再開してから半年が過ぎた。夏休みや連休には宿泊ケビンの予約が埋まるなど運営は順調な一方、温泉設備の経年劣化や大雨などの対応に苦慮したという。温泉好きが講じ自ら手を挙げ、地元自治会から再建を託された千葉県出身の女将(おかみ)水品沙紀(みずしなさき)さん(26)は「親しみのある温泉宿にしたい」と理想を掲げ、婚約者と二人三脚で奮闘を続けている。

 「ありがとうございました」。10月中旬、温泉施設入り口のカウンター。水品さんが男性利用客を笑顔で見送った。「最近は経営のペースもつかめてきた。いろいろな人が来てくれるので楽しいですね」と充実した表情を浮かべた。

 再オープンした4月16日以降、県内外から外国人を含む観光客らが心身の癒やしに訪れている。大手コンビニを退職した婚約者の豊島多央(とよしまたお)さん(26)も8月から同居し協力し、施設管理から料理に至るまで2人で全ての業務をこなす。「自然も豊かで時間が緩やかに感じる」と声を弾ませる。

 インターネットで小口資金を募っていた「クラウドファンディング」も、100人以上が出資。最終日の5月31日に目標額200万円を達成し、故障したボイラーの修繕費などに賄えたという。

 経営も軌道に乗りつつある。夏休みは盛況で温泉施設に隣接する宿泊ケビンの予約が絶えず、7月下旬には文星芸大付属高男子バスケットボール部約20人が3泊4日の合宿で利用。伊藤均(いとうひとし)監督(47)は「ケビンも広くて最高。温泉も良かったし、トレーニングに集中できる環境だった」と振り返る。

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