《三碑の里訪ねて(2)》辛科神社 多胡郡の総鎮守 渡来人の足跡伝える

上毛新聞
2016年10月29日

ㅤ赤城山ろくに広がる県央部まで見渡せる高崎市吉井町神保の丘陵地。ひっそりとたたずむ辛科(からしな)神社は、1300年以上前の大宝年間に渡来人が創建したとされ、地域の変遷を見守り続けてきた。大陸とのつながりを示す先人の足跡として、あらためて注目される。
ㅤ林に覆われた神社は随神門、拝殿、回廊を備えた本殿などで構成。社宝の懸仏(かけぼとけ)「文殊七尊鏡像」は、渡来人の子孫とされる「惟宗入道」の寄進という。
ㅤ周辺地域は「続日本紀」にある「韓級郷」と推定され、後に「辛科郷」に変化したと考えられている。韓級は朝鮮半島南部の加羅に通じるとみられる。
ㅤ711(和銅4)年に多胡郡が成立すると、神社は郡の総鎮守となる。国家主導で設置された多胡郡には渡来人が居住し、窯業、製鉄、織物、馬の飼育などの産業が発展、仏教文化が広まるなど先進的な地域として繁栄したと伝えられる。
ㅤ境内には三碑をPRしようと、住民奉納の多胡碑を模した石碑が置かれている。元多胡碑記念館長である宮司の神保侑史さん(72)は「世界の記憶」の登録推進協議会に所属し運動に携わっている。
ㅤ三碑の登録は、鏑川流域の古代の歴史に、多くの人の目を向けるきっかけになると神保さんは期待する。「小さな地域に集まる三碑はまとめて見られる。見学が終わり『さあ次はどこにいこうか』という歴史愛好家にとって、周辺は魅力的な史跡が多い」とPRしている。

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