茨城県北芸術祭 作品を見に行く(4) 北茨城 輝く奇岩が風景を一変

茨城新聞
2016年10月12日
161011kenpoku

近代日本画の聖地・北茨城。「茶の本」や六角堂などを通して東洋の美学の重要性を唱えた岡倉天心の思いを形にした彫刻など市内4カ所9作品を見ることができる。

まずは、天心の残影に迫ろうと六角堂や天心邸を訪問。長屋門をくぐり、天心邸を横目に進むと、五浦海岸の岩礁に立つ六角堂に着く。ガラス越しに堂内をのぞくと、なんと床にはああああ小さな雑草が…。これは、繊細な植物を彫刻することで知られる須田悦弘さんの作品で、その名も「雑草」。声高に存在を主張するのではなく、さりげなく生えている姿は、けなげで強く「飾らない美学」に通ずる。

一方、天心邸の庭ではメタリックに輝く中国奇岩が存在感を示している。東洋の伝統に立脚しながらも、常に新しいものを追い求めた天心の精神を顕彰する彫刻作品で、中国現代美術の代表的作家、ジャン・ワンさんが制作した。現代の光輝く奇岩が、伝統的な庭の風景を一変させてしまうアートの力に満ちた力作だ。

関東の松島とも呼ばれる五浦海岸の景観を楽しんだ後は車で約3分の県天心記念五浦美術館へ。伝統とデジタル技術が融合したチームラボの作品は見る者を圧倒し、感動の渦に巻き込む。天心にちなんだ「和の美学」がテーマで、猪子寿之代表は「茶の本で天心は『日本の心は茶に宿っている』と書いている。新しい分野の作品を楽しみながら天心や先人たちに思いをはせてほしい」と話す。

「仰天有始 観物無吾」(天を仰げば天に世界の始まりを思い、物を心眼で見るなら自我は消える)とは天心の言葉。各会場を巡り、偉人の世界観に少しだけ触れたような気がした。美術館から車で30分ほどの旧富士ケ丘小学校には、柚木恵介さん、日比野克彦さん、林剛人丸さん、ミトゥ・センさんの作品を展示。

インドの作家、ミトゥ・センさんの作品「人のいない空間」は、教室に机や椅子を重ね、教室や廊下にインドの子どもたちの声を流している。廃校が進む日本とは逆に、校舎不足で学校に行けないインド。現状の違いを見つめ、二つの国の空間を「子どもたちがいる/いた場所」として一つにつなげた。同校を見学していた日立市十王町の石崎健也さん(32)は「芸術は奥が深く、考えさせられる作品ばかり。今度は常陸太田、大子に行ってみたい」と話した。 

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