《路線バス 終点を行く(3)》しおじの湯(上野) 山迫る奥多野の秘湯

上毛新聞
2016年4月28日

ㅤJR新町駅を出発した広域路線バス「かんながわ号」は、奥多野を貫く十石街道を西へ向かう。藤岡、神流を経て最深部の上野村に入り、休憩所や特産品販売所もある「村ふれあい館」を右に眺め、木々がそびえ立つ道をさらに進む。やがて神流川と中ノ沢、北沢の合流場所にある村営日帰り温泉施設「浜平温泉しおじの湯」が見えてきた。
ㅤ山あいの秘湯は古くから湯治場として知られていた。同村楢原の浜平地区には、かつて一軒宿の奥多野館があったが、経営者の高齢化などで1996年に閉館。村の新たな観光拠点を目指し2006年にオープンした「しおじの湯」が、再び湯けむりの里に人々を集めている。
ㅤ温泉水は施設内で飲む事ができ、ペットボトルに入った飲料水としても販売されている。施設の管理担当、黒沢政雄さん(65)は「ミネラルを多く含み、全国の飲泉水にひけをとらない良質な源泉」とPRする。
ㅤ豊かな自然に囲まれ、内風呂と露天風呂がある浴場からはブナやヒノキ、アカマツなどの木々や清流を望むことができる。近くには施設名の由来となった国指定天然記念物のシオジ林や高さ90メートルのつり橋「上野スカイブリッジ」といった名所もある。
ㅤ間もなく多くの観光客で奥多野が華やぐゴールデンウイーク。その後も春の新緑、夏のセミの声、秋の紅葉と、終点にある湯どころには四季ごとの楽しみ方があるのも魅力だ。

ㅤ【奥多野線】多野藤岡広域市町村圏振興整備組合から委託を受けた日本中央バスが運行する。群馬藤岡駅、神流町恐竜センターなど主要施設を経由。新町駅からしおじの湯までの所要時間はおよそ2時間40分。

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