浅間山から流れ着く 前橋の「岩神の飛石」 赤城山説を市教委修正 科学調査で“決着”

上毛新聞
2016年3月18日

国指定天然記念物「岩神の飛石(とびいし)」(前橋市昭和町)について、市教委は15日、約2万4千年前に浅間山周辺から泥流で流されてきたことが科学的な調査で分かったと発表した。長年信じられてきた赤城山を起源とする説が覆った。赤城山噴火によるものとした天然記念物の指定理由は修正されないが、市教委は説明文に調査結果を追記するなど市民に周知を図る方針だ。

飛石の成分分析やボーリング調査の結果、中之条町指定天然記念物「とうけえ石」など浅間山の噴火で運ばれたと考えられる岩と成分が良く似ていることが判明した。直線距離で約50キロ離れた浅間山から、吾妻川の流路に沿って土砂と共に運ばれてきたとみられる。
飛石は高さ10メートル、周囲が70メートルもある大岩で、岩神稲荷(いなり)神社の敷地にある。1938年に天然記念物に指定された。その際の国の調査で、先史時代の赤城山の噴火で流れついたとされた。
赤城山起源説が定着していたが、2008年ごろに群馬大の早川由紀夫教授(火山学)が浅間山起源説を提唱し、由来をめぐる議論がわき起こった。
飛石がどこから来たのか不思議に思っていた県民は少なくないだけに、今回の“決着”は関心を集めそうだ。
調査を担当した県立自然史博物館の菅原久誠さんは「由来が分かって非常にうれしい」と専門家としてコメント。前橋岩神小の金井八重子校長は「児童は赤城説と浅間説を両方学んでいた。事実が分かって良かった」と歓迎した。
地元自治会長で飛石をご神体として祭る同神社の責任役員、浅野敏雄さん(76)は「地元住民にとって親しみのある岩。これからも大切に守っていきたい」と話していた。

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