《まち歩き・里歩き》坂東橋緑地公園 (渋川市半田) 開けた地 春を感じて  

上毛新聞
2016年3月16日

  坂東橋を渡った利根川西岸の半田地域は古代から中世後期の土地区画制度で田畑に開墾され、古くから人の手が加わり開けた土地。河川敷の坂東橋緑地公園をスタートし、豊かな土壌が広がる一帯を歩いた。
広大な公園内にはソフトボール場やテニス場、無料で利用できるバーベキュー場など多くの施設がある。近隣のお年寄りがグラウンドゴルフで汗を流すなど、地域住民の交流と憩いの場として親しまれている。
利根川がごうごうと音を立てる坂東橋のたもと下で深呼吸。上流の穏やかな青緑と下流の白いしぶきが目に優しい。
国道の高架近くの石材店で布袋尊が道路に向かって優しくほほ笑んでいた。五重の塔やかわいらしいキリンなどバラエティー豊かな石像が並び、道行く人の目に留まる。
江戸から明治にかけて活躍した半田出身の医師、山口健三(1808~73年)の功績をたたえる筆子塚を訪れた。健三は漆原村(現吉岡町)で起きた集団食中毒を治療した名医として知られ、医業の合間には地元の子弟100人余りに学問を教えた人格者。彼の教え子たちが死を惜しんで建立した塚には子弟の名前がずらりと彫られ、慕われた健三の人柄が伝わってきた。


道路脇に咲く梅の花のほのかな色が青空に映える。遠くには子持山と小野子山が見えた。
少し歩くと宇宙船のような建物が目の前に現れた。宇宙船の正体は日帰り温泉施設「スカイテルメ渋川」。渋川の大空に浮かぶ健康浴場を意味する名称は、1998年の完成前に当時の市職員らから募集して決定した。地上15メートルの大展望風呂やロビーからは赤城山や榛名山など360度の景色を望むことができる。
半田早尾神社に到着した。1970年に市指定重要文化財となった本殿は幕末に活躍した熊谷の彫刻師、小林源八正信の美しい彫刻で知られる。境内には樹齢500年を越すとされる「夫婦欅(めおとけやき)」がそびえ立つ。2本のケヤキの根が長い年月を経てつながり、一つになったことが名前の由来。夫婦が手をつないで2本の間を通ると子どもを授かるという伝説もある。神社の催事の運営などを務める氏子総代長の星野又男さん(72)=写真=は「神社を案内するしおりを作りたい。歴史や伝統行事などを資料で残し、地域の宝を多くの人に知ってほしい」と目を輝かせていた。

  遠くの山々にかすみがかかり、三寒四温で日に日に暖かくなってきた。花粉対策を万全に、またどこかへ春の景色を探しにふらっと出掛けたい。

 

 

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