《まち歩き・里歩き》城山中央公園 (高崎市城山町) 古碑が見守る山里 

上毛新聞
2016年3月16日

  高崎市の山名地区は、世界記憶遺産国内候補の「上野三碑」のうち「金井沢碑」「山上碑」がある山里の町。暖かな日差しのお出掛け日和に、周辺を巡ることにした。同市城山町の城山中央公園を出発し、近くの金井沢碑に向かう。この碑は726年に建てられ、碑文の「群馬」は県名のルーツになっている。
碑を左手に山道を下り、県道寺尾藤岡線を進んだ先で、どっしりと構えた鳥居が迎えてくれた。山名八幡宮だ。古くから安産、子育ての神社として信仰を集め、平日休日問わず、夫婦や家族連れが訪れる。
絵馬に願い事を書き込んでいた安中市板鼻町の鈴木浩喜さん(33)は、8月に3人目の子どもが生まれる予定。「無事に生まれてくれればそれだけでいい」と話す幸せいっぱいの笑顔に、温かい気持ちになった。鈴木さんに元気な赤ちゃんが生まれますように。
拝殿に向かう前に清めようと手水舎に行くと、いきなり水が流れだし驚いた。自動で流れる仕組みになっているようだ。心を落ち着かせてお参りを済まし、拝殿裏側に回る。そこには裏神様と呼ばれる獅子頭があった。案内板によると、陰陽合わせの考えから、表からだけの参拝よりも御利益があるという。道中のすてきな出合いを祈って手を合わせ、山名八幡宮を後にした。


車がすれ違うこともできないほどの細い道を抜ける。途中の三差路で立派な地蔵尊があった。地蔵には花が供えられていて、心優しい地域の人の顔を想像しながら歩みを進めた。
二つ目の古碑、山上碑へ行く前に、西に続く道を歩いた。程なく、ひっそりとたたずむ大山祇神社に行き着いた。神社の奥には山名貯水池が広がり、水面がきらきら光っている。足を延ばしたかいがあったと思える景色に少しの間見とれた。
階段を息を切らしながら登り切り、山上碑に到着した。同碑は681年に建てられ、完全な姿で現存するものとしては日本最古。石碑は建物の中にあり、窓から見学できる。電気を付けないと中は真っ暗なので、スイッチを入れて見てほしい。
隣接する山上古墳の脇に続く道の先に、歌碑を見つけた。万葉集の上野国歌の歌碑が並ぶ「石碑の路」。自然を満喫しながら歌碑を巡るのも楽しそうだ。


のどかな風景を味わうハイキングとしての楽しみ方はもちろん、文化財に触れ地域や群馬の歴史に思いを巡らせることができた。

 

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