サル山頂点 俺だ 5匹名乗り 火花散らす 桐生が岡動物園 前職1匹、新顔4匹 実力拮抗で越年 権力の空白続く

上毛新聞
2016年1月25日

桐生が岡動物園(桐生市宮本町)のサル山で昨年秋から、ボスに当たる第1位の座をめぐって5匹の雄が激しい順位争いを繰り広げている。昨年中には決着するかと思われたが、実力が拮抗(きっこう)して越年した。さる年でますます注目が集まる中、政界顔負けの権力闘争は予断を許さない状況が続いている。

桐生が岡動物園では現在、雄17匹、雌29匹を飼育している。2014年に第1位の「マテガイ」が死に、その年の秋に「ラモン」(10歳)が第1位の座に就いた。だが昨年秋にラモンがトップから陥落すると、「ムツ」(12歳)、「ツヨシ」(9歳)、「ユウキ」(9歳)、「アスナロ」(8歳)の4匹が名乗りを上げ、現在は返り咲きを狙うラモンを含む5匹が周囲を威嚇して第1位の座を争っている。
決着が付いたかどうかは、物を揺らして力を誇示している様子や、餌を置いたときに最初に取りに来たり、周囲のサルが食べ終わるのを待つようになるなどの行動で分かるという。担当飼育員の沢田和慶さんは「発情期が終わる1月アタマには決まると思ったが、これほど決まらないのは桐生では初めて。第1位が不在の状況はもうしばらく続くかもしれない」と話す。
ニホンザルは高崎山自然公園(大分市)で“伝説のボスザル”と呼ばれた「ベンツ」(失踪後の14年に死を認定)にイメージされるようにボスザルが群れを統率するイメージがあった。しかし、最近の研究によると、野生では統率するような行動を確認できず、多くの動物園がボスザルという呼び方をやめ、「第1位」という表現を使うようになっている。
第1位が決まらないと群れが不安定になり、個体間の無駄な争いが増える可能性がある。5匹によるにらみ合いが当分続くのか、突然の決着を迎えるかは動物園関係者にも分からず、サルの群れを見守る日々が続いている。

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