正月の縁起物「縁独楽」誕生 笠間焼の新名物に
正月の縁起物で笠間焼をアピールしようと、個性豊かなこま「笠間の縁(えん)独楽(こま)」が誕生した。作陶家たちがそれぞれ、飾るだけでなく回して楽しむ作品を目指し、試行錯誤を重ねた。1月2~5日の4日間、同市笠間の笠間工芸の丘広場で開かれる新春陶器市で展示し、回して遊べるコーナーを用意するなどして、縁独楽の魅力に触れてもらう。
今回の企画には作陶家68人が参加し、10月ごろから制作を始めた。粘土に軸を定めるのは難しく、乾燥、素焼き、本焼きの過程で若干ぶれることもあり、頭を悩ませながら完成させた。
こまはカラフルなものから鉄釉(てつゆう)などの落ち着いた趣のものまで多彩。釉薬や絵付けをはじめ、大きさや形などに各作家の個性が生かされている。1分以上回る本格的なこまもある。
縁独楽の制作・展示は17回目を迎える新春陶器市「彩(いろどり)初窯市」の新しい企画として、実行委員会の作陶家らが発案。笠間焼を広く知ってもらうために、正月の縁起物で記念品や土産にもなるこまに着目した。
笠間焼協同組合によると、笠間焼の作家は県内に約300人いるが、制作・販売だけで生計を立てられるのは3分の1程度で、知名度向上は重要な課題となっている。
企画の責任者で作陶家の甲斐孝生さん(46)は「急須のふたの要領で作った」と話す。つまみの部分を軸に見立て、ロクロを回転させた時に、ぶれがないかを確認しながら作業を進めた。焼成後は実際に回してぶれを再確認し、「やすり掛けで微調整した。大変だった」。80個以上を仕上げ、その中から出来の良いものを選んだ。
陶器市ではデザイン性重視で回らない作品も展示。回る作品については会場内のクラフトホールで遊べるようにする。来場者同士が対戦し、長く回せた人には縁独楽を贈ることにしている。
甲斐さんは「たくさんの人に縁独楽を楽しんでいただきたい。将来的には笠間市の名物になるよう、地域ぐるみで縁独楽を育てていきたい」と意気込んでいる。
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