恭次郎の前衛性に迫る 前橋文学館

上毛新聞
2019年11月5日

 前橋市出身の詩人、萩原恭次郎(1899~1938年)の生誕120年を記念した企画展「何物も無し!進むのみ!」が2日、前橋文学館で始まった。遺族から寄贈された恭次郎の着物や羽織などを初公開するほか、第1詩集「死刑宣告」や自筆原稿など資料約120点を展示し、恭次郎の前衛性に迫る。

 叙情的な詩から前衛的な詩、アナキズム思想を深めた詩、農民詩など時代による変化を紹介。ミシンや骸骨、ペンチなど詩集に登場する多くの物も並べ、恭次郎の世界を再現した。

 前衛芸術誌「マヴォ」に恭次郎が描いた機械の図を基に、群馬工業高等専門学校の学生たちが立体化させた作品は、ボタンを押すとランプが点灯するなどの仕掛けがある。

 初公開の着物や羽織は次男の金井和郎さん(92)=同市石倉町=と妻の和子さん(89)が10月に寄贈。大島紬(つむぎ)の着物と羽織は、和子さんが24歳で嫁いだ時、恭次郎の妻、ちよから渡され、和郎さんが着られるように丈詰めをした。他のはかまなどは風呂敷に包んで大切に保管していたという。和郎さんは「節目に寄贈できて良かった」と話す。

 記念展は県立土屋文明記念文学館(高崎市)と連携して企画。県立は12月15日まで、前橋文学館は来年1月26日まで開催。問い合わせは同館(☎027-235-8011)へ。