上毛かるたの世界 歴博で9日まで 郷土の誇り 内外に影響 原画44枚や幻の札

上毛新聞
2018年11月23日

企画展「上毛かるたの世界」が12月9日まで、県立歴史博物館で開かれ、絵札の原画44枚を展示している。上毛かるたは終戦直後、郷土への誇りを育む遊びとして考案された。展覧会では連合国軍総司令部(GHQ)の検閲で採用できなかった読み札のエピソードや県内外への影響を紹介している。

上毛かるたは1947(昭和22)年に恩賜財団同胞援護会県支部が中心となり、読み札の素材を県民から募集して作った。
インフレで困窮する中、同支部の責任者でかるた生みの親となった故浦野匡彦さんは、サツマイモを原料に「はらから飴(あめ)」を開発して販売。飴のポスターや収支決算書などの資料から売上金が制作費に充てられたことが分かる。
GHQの検閲で、皇国史観や武士であることなどを理由に勤王思想家の高山彦九郎と幕臣小栗上野介、侠客(きょうかく)の国定忠治は採用を却下された。浦野さんはいつかこの3人に光を当てたいと思い、「義理人情」という県民気質を代表する言葉に思いを託した。
新島襄直筆の書簡や田山花袋の手帳、関孝和の著書に加え、昭和前期の木製スキー板や馬型埴輪など絵札ゆかりの品々を展示。会場を一巡すれば本県の名物や偉人、歴史が分かる構成となっている。


影響を受け、県内の自治体や小中学校などが作った郷土かるた約60点も紹介。題材の多くは地域の歴史や学校行事から採られているが、似顔の絵札とともに「遅刻寸前 僕らの先生」と詠んだほほ笑ましい札もある。
県外に影響を与えた例として五つのかるたを挙げた。「かがのとかるた」(石川県)、「さいたま郷土かるた」(埼玉県)、「房総子どもかるた」(千葉県)は本県を参考に製作。東京都葛飾区と岐阜県中津川市は上毛かるたのルールを参考に郷土かるたの大会を開いている。
同館学芸員の武藤直美さんは「群馬を見て、郷土を学ぶのにかるたが有効だと分かったのだろう。全国のかるたと比較すると、上毛かるたは七五調の短い文の中に、必要な要素が詰め込まれている」と分析する。
県大会は通算71回、発行部数は150万部。上毛かるたは名実ともに日本一の郷土かるたとなった。会場には優勝旗や歴代優勝地区を示したボードもあり、県民の深いかるた愛を紹介している。月曜休館。一般500円など。
(三神和晃)

◎かるた王者 早業披露 1日
大人の上毛かるた日本一決定戦の優勝者で結成したドリームチームが早業を披露するイベント「対戦!KING OF JMKチャンピオン」が1日午後2時、県立歴史博物館で開かれる。
ドリームチームは「チーム阪本」と「チーム永井」のメンバー計3人が一日限定で結成した。挑戦者を募集中で、定員は3組(1組3人)。25日までに同館(☎027・346・5522)へ申し込む。

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