常総線、全線で再開

茨城新聞
2015年10月11日

鬼怒川の堤防決壊で被災した常総市を縦断する関東鉄道常総線は10日、不通だった水海道-下妻駅間(18・6キロ)が復旧し、1カ月ぶりに全線で運転を再開した。地域を結ぶ鉄路の復旧により、復興加速への期待が高まる。

午前5時21分、水海道駅の下りホームで一番列車が出発。乗客は水害の爪痕が残る沿線の景色をじっと見詰めた。

同駅には朝から高校生や通勤客が訪れた。部活動に向かう同市水海道山田町の県立高1年、熊田啓樹さん(15)は「1カ月間、片道約40分かけて自転車で通った。普通の生活に戻れたような気がする」と笑顔。上り列車から降りた同市大房、池田清美さん(50)は「代行バスは道路事情で時間が変わるので、鉄道再開はうれしい」と話した。

ボランティアの姿も見られた。埼玉県羽生市の梶谷誠さん(46)は「水海道から先も列車で清掃の手伝いに行ける」と喜んだ。

同線は市内に七つの駅があり、地域の足として欠かせない存在。今回の水害で取手-下館駅間(51・1キロ)が不通となった。下妻-水海道駅間の一部ではレールが曲がり、線路下の地盤が流失、踏切39カ所が使用不能となった。中でも三妻-南石下駅間の被害が大きかった。

南石下駅で上り列車の到着を待っていた野口智幸さん(46)は「毎週末、取手市内の実家に帰っているので助かった」と笑顔。北水海道駅前では、遠藤真澄さん(51)が「復旧は月末と聞いていたので、早い再開で安心した」とほっとした表情を浮かべた。

同社は応急復旧として、当面は速度を約40キロに落として運転するほか、通常の3割程度の本数で運行。徐々に通常ダイヤに戻していく。

水海道駅の宮田隆一駅長は「これからも地元常総の皆さんと共に復興を目指していきたい。運転再開が復興への励みになればうれしい」と話した。