深海の新種初公開 直径30センチ、謎の生態研究 大洗水族館

茨城新聞
2018年3月15日

昭和天皇も採集した、新種の海洋生物「トゲツルボソテヅルモヅル」の展示が、大洗町磯浜町のアクアワールド県大洗水族館で始まった。9日に、クモヒトデの仲間で主に深海にすむ「テヅルモヅル」の新種と発表されたばかりで、全国初公開。同館は展示と並行し、謎に包まれた生態を研究する。

生物は、植物の根っこに似た姿が特徴。東京大の岡西政典特任助教(動物分類学)らが9日、ニュージーランドの科学誌に新種だったと発表した。体表に微細なとげがあることから、この名が付いた。

調査に当たって、生物学者でもあった昭和天皇が相模湾で自ら採集船に乗って集めた標本が使われた。国立科学博物館が所蔵する標本11点のうち、7点は昭和天皇が1930~58年に集めた個体だった。

生物は、深さ数十~千メートル以上の海に生息。細かく枝分かれした腕を網のように広げると数十センチになる。この「網」でプランクトンを捕まえて食べると考えられている。

同館によると、展示した個体は、県の調査船が昨年10月に本県沖・水深約80メートルで見つけ、同館の予備槽で飼育していた。腕を広げた直径は約30センチ。水槽にへばりつくようにじっとしているが、時折腕をわずかに動かす様子が見られる。

「テヅルモヅル」の仲間は生態がほとんど分かっていない。同館魚類展示課の徳永幸太郎さん(40)は「とても不思議で貴重なこの生き物を見てほしい。長生きさせて、詳しく調べたい」と話した。 

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