偕楽園バリアフリー化 茨城県、梅まつり控え整備

茨城新聞
2018年2月8日

茨城県は日本三名園の一つ「偕楽園」(水戸市)のバリアフリー化を急いでいる。17日に開幕する水戸の梅まつりに合わせ、高齢者や車いすの利用者にも安心して散策してもらえるよう、スロープの仮設置や多目的トイレを整備する。同園は国の特別史跡・名勝に指定されている文化財。県は「価値を損なわないよう注意しながら誰もが利用しやすいよう整備したい」と慎重に進めている。

水戸の梅まつりは17日に開幕し、3月31日まで同園などで開かれる。県は既に多目的トイレを整備したほか、スロープの仮設置や段差の解消を急ピッチで進めている。

スロープは、梅林と笹(ささ)の叢(むら)の境にある柴前門(しばさきもん)の横に設置される。延長約20メートル。車いすが利用しやすいように傾斜を8%以下に抑えて緩やかにする。

スロープを設置することで、竹林や杉林の間を通って梅林に抜けられるようになり、表門からの主要な散策ルートが楽しめることになる。表門でも車いすなどが入りやすいよう、木の板を置き、約10センチ分の段差を解消する。

多目的トイレは、東門そばの売店裏のトイレを改修した。高齢者や車いすの利用者が便座に座りやすいよう、上半身を支えるテーブルを便器の前に設置し、介助者負担を軽減するほか、1人でも使えるよう工夫されている。

偕楽園は1842年、水戸藩9代藩主、徳川斉昭によって造園された。園内には約100種計3千本の梅があり、昨年の梅まつり期間中は全国から約59万人が訪れた。

造園当時の姿を残す園路は段差や起伏が多く、車いす利用者や高齢者が移動するには困難な場所が存在する。県には「歩きやすくしてほしい」という要望の声がこれまでに寄せられていた。

県はバリアフリー化に努める一方、今後の整備については慎重に進める考え。偕楽園は文化財保護法により、国の特別史跡・名勝に指定されており、文化財の価値を損なう恐れもあることから、急激な施設整備は難しいという。

こうした事情から、今回のスロープは梅まつり期間の仮設置とする。アンケート調査を行い、利用者の意見を踏まえた上で本設置するかどうか検討する。

県の担当者は「ハード面は一度整備すると後戻りができない。使い勝手や文化財への影響などを見極めながら順次整備したい」としている。

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