ドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」 ロマンと歴史、後世に 市民団体が展示コーナー

茨城新聞
2018年2月4日

1929年8月に土浦にドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」が着陸した歴史と記憶を後世に引き継ごうと、市民団体が土浦市中央のまちかど蔵「野村」の一角に、飛行船の写真や資料を常設展示するコーナーを設けた。4日から一般公開が始まった。入場無料。団体は「多くの人に土浦と飛行船のつながりを知ってほしい」と来場を呼び掛けている。

市民団体は「土浦ツェッペリン倶楽部」(堀越昭会長)。飛行船を活用したまちおこしをしようと2000年夏に結成され、さまざまなイベントや交流会を開催。現在は市内外の約50人が入会している。

会場には、同倶楽部と土浦商工会議所が保存してきた伯号の写真や資料、飛行船の最先端部分の部品で直径2メートルの「ノーズコーン」実物、飛行船の模型、映像などを展示。100点を入れ替えながら常設で見せる。

世界一周中の伯号が霞ケ浦海軍航空隊に降り立ったのは1929(昭和4)年8月19~23日。全長236メートルの巨大な機体を見ようと約30万人が詰め掛けたという。乗組員らの歓迎会は料亭「霞月楼」(同市中央)で開かれた。当時7歳だった堀越さんの父、故恒二さんは、軍人の計らいで停泊中の飛行船の中を案内され、その時の記憶を語り継いできた。歓迎会の献立も残されている。

市内では、2004年に日本の会社がツェッペリン社から新型飛行船を購入したのを機に、伯号の乗務員をもてなした逸話にちなんだカレーが開発され、地域おこしも進められてきた。05年2月に新型機が陸自霞ケ浦駐屯地に飛来。上空を優雅に舞う雄姿に、訪れた約2万人から大きな歓声が送られた。

同倶楽部広報担当で、霞月楼専務の堀越雄二さん(68)は「飛行船はナチスに利用された戦争の時代を超えて、欧米では今はエコでスローな乗り物として観光などの平和利用で活躍している。伯号のロマンと夢、歴史を引き継ぎたい」と語った。同倶楽部では会員も募集している。

まちかど蔵野村は午前9時~午後6時。4日は午前10時ごろから、先着50人にツェッペリンカレーコロッケをプレゼントする。

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