日本ジオパーク委 県北再認定へ現地審査

茨城新聞
2017年10月5日

組織や広報体制などに課題があるとして、条件付き認定になっている県北ジオパークを巡り、日本ジオパーク委員会は3、4の両日、再認定へ向けた現地審査を水戸市常磐町の偕楽園などで行った。インタープリター(案内人)が熱心に地層や地形の成り立ちを説明したほか、県北ジオパーク推進協議会(会長・三村信男茨城大学長)は改善状況を報告した。

県北ジオは水戸・千波湖(水戸市)、平磯海岸(ひたちなか市)、大洗海岸(大洗町)、常磐炭田(北茨城市)、花貫渓谷(高萩市)、竜神峡(常陸太田市)など10市町村の15エリアを設定している。5億年前から現在までの大地の歴史が学べる。

2011年に初認定されたが、同委員会は15年度に「エリア内の住民、市町村、および県の活動に対する理解や認識が低く、持続可能な運営体制が構築されていない」と指摘し、2年間の条件付き再認定としていた。

同協議会は指摘を受け、オブザーバー参加だった県、水戸、日立市、大洗町、常陽銀行、筑波銀行を正会員とした。

さらに、インタープリターの活動と市町村の連携強化、インターネットや看板解説などによる情報発信の強化などを行ってきた。組織面では地学の専門知識を有する専門員を含め計4人の職員を配置した。3日から始まった現地審査では、こうした改善点を3人の審査員に説明した。

水戸・千波湖ジオサイトに含まれる偕楽園では4日、インタープリターの西原昇治さんらが「崖地や台地を生かしている」と地形や地質を説明。「吐玉泉は常陸太田市産の寒水石で4代目となる」と解説した。石材採掘跡地では、「徳川光圀が造った笠原水道の岩樋(いわひ)に使われた」と話した。

成田賢審査員は「インタープリターの説明が分かりやすかった。自然景観や地層を保全するには市民の協力が必要だ」と述べた。

ほかに、茨城大学での意見交換や事例発表、日立、北茨城市の現地視察を行った。同委員会は12月に再認定の可否を審議する予定。

★ジオパーク
「地球・大地」(ジオ)と「公園」(パーク)を組み合わせた言葉で、「大地の公園」という意味。地層や岩石、火山、断層といった自然や歴史・文化を学び、楽しむことのできる場所。日本ジオパーク委員会が認定する日本版とユネスコが認定する世界版がある。日本版は全国43地域が認定されている。

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