遊牧民の営みに光 県自然博物館 標本や剥製430点 坂東

茨城新聞
2016年7月10日

ユーラシア大陸に広がる草原の自然と遊牧民の営みに光を当てる企画展「モンゴル・ステップ・大草原~花と羊と遊牧民」が9日、坂東市大崎の県自然博物館で開幕した。モンゴル国を中心とした草原地帯の気候や土壌、動植物、さらに遊牧民と家畜の営みが標本や剥製、解説パネルなどの展示物約430点を通し、体系的に分かりやすく紹介されている。

会場中央には遊牧民の移動住居「ゲル」が設置され、取り囲むように草原の写真や植物の標本などを配置。360度のパノラマで雄大な大草原が演出されている。子どもたちが遊牧民の煮炊きの燃料となる家畜の「ふん集め」を体験できるコーナーもあり、民族衣装の試着も楽しめる。

植物標本など多くの展示物は、同館が2001~10年の10年間にわたって現地調査した研究成果。草原が過剰な放牧などにより砂漠化する近年の世界的な現象に警鐘を鳴らし、モンゴルの草原保全の取り組みも解説されている。相撲や競馬、弓射を競うモンゴルの伝統の祭り「ナーダム」も詳しく紹介され、自然科学、民俗学、文化人類学など多分野にまたがる展示内容となっている。

開幕式典にはソドブジャムツ・フレルバータル駐日モンゴル国大使が出席。同大使は「展覧会を通じモンゴルに対する知識が増え、両国の相互理解がもっと強化されるのではないか」と日本語であいさつ、交流拡大に期待を込めた。

同館企画課の小幡和男課長(59)は「遊牧民には草原を荒らさないように家畜を飼う知恵がある。家畜と遊牧民が自然とどのように関わって生きているのか知ってほしい」と話している。同展は9月19日まで開かれている。

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