油彩や書、陶芸 76点 中川一政展 筑西・廣澤美術館 茨城

日本を代表する洋画家の一人、中川一政(1893~1991年)を紹介する企画展「真鶴に遊ぶ 中川一政展」が、茨城県筑西市大塚の廣澤美術館で開かれている。神奈川県真鶴町にアトリエを構えた中川が残したバラやヒマワリといった油彩画のほか、書や陶芸など多才ぶりを示す力作計76点が展示されている。
東京生まれの中川は、少年時代には詩や短歌で才能を発揮。21歳で初めて油彩画を描き、岸田劉生らと交流した。美術学校で学ぶことなく独自の様式を確立し、油彩のほかに岩彩(岩絵の具)や書、陶芸、装丁など幅広い分野で活躍した。75年に文化勲章を受章した。
中川について、同館の福嶋達也副館長(38)は「全て独学で学び、多彩な才能を発揮した」と説明。今回は初公開の作品15点を含み、中川の足跡に触れられる構成としたという。
特に中川が好んで描いたバラの絵画に光を当てている。初公開の油彩画「薔薇(ばら)」は、筆跡を生かした仕上がりが印象的。青々としてそびえ立つ山を豪快に表現した油彩画「駒ケ岳」も目を引く。
このほか、中川の制作した茶わんや絵皿、詩の書かれたびょうぶといった多彩な表現の作品が並ぶ。陶板画「海の底にも春が来た」をはじめ、魚や海の生き物をモチーフにした作品も展示されている。同展は6月8日まで。