《食いこ》銅山堂(茨城・石岡市) 和洋融合ちーずまんじゅう

茨城新聞
2024年11月9日

茨城県石岡市柿岡に宮本和嘉さん(50)が営む和・洋菓子パン工房「銅山堂」がある。同店は1925年創業の老舗。看板商品の一つが「ちーずまんじゅう」だ。洋菓子のクリームチーズを、和菓子の皮で包む同店のオリジナル商品。約30年前に考案され、今では地元で定番の菓子となっている。和嘉さんは「伝統の味を守りつつ、新しいものを取り入れていきたい」と話す。

ちーずまんじゅうを考案したのは、先代の等さん(74)と妻の久子さん(74)の2人。女性や子どもはもちろん、甘いものが苦手な男性でも食べることができる菓子を作れないかと考えた。試行錯誤の結果、甘さ控えめのクリームチーズのあんを、ビスケット生地の皮で包み込んだちーずまんじゅうが完成した。

当初は、おやつ感覚で食べてもらうため、焼きたてを提供していた。すると、評判が良く、客から贈答用に使いたいとの要望があった。そこで個別包装を行い、現在の形で販売することになった。今では、県外からの注文もあり、多い日には1000個も売れる人気商品になった。

クリームチーズがぎっしり詰まった「ちーずまんじゅう」

お勧めの食べ方は、トースターで軽く温めること。外側はカリッと、中はとろっとして、クリームチーズの酸味と甘みが絶妙だという。また、冷やして食べると、レアチーズのような味わいになる。

和嘉さんは4代目。高校卒業後、パンや洋菓子の専門学校に通った後、他店で修業した。25年前に実家に戻り、パンや洋菓子の仕込みを行い、現在では経営者も務める。

「上代かがみ最中」などの菓子がずらりと並ぶ

同店の看板商品は、ちーずまんじゅうのほか、「小判石クッキー」「上代かがみ最中」がある。こうした昔からの人気商品の味を守りつつ、新たな味の開発にも挑戦している。

最近では、「いしおかサンド」作りに参加した。この事業は、同市が市内の菓子職人の協力で地元のオリジナルスイーツを作るもの。菓子作りを通して、地元の食材に対する理解や、市内の菓子屋との交流を深めることができたという。

経営を和嘉さんに譲った今でも、久子さんは店頭に立つ。昔を懐かしがって来店する客との出会いが楽しみだからだ。久子さんは「地域の人に愛される菓子屋として、いつまでも続けていければ」と語った。

お出かけ情報
銅山堂
▽茨城県石岡市柿岡2024の1
▽営業時間は午前9時~午後6時半
▽定休日は水曜、第2火曜
▽(電)0299(43)0153