《食いこ》木内酒造・八郷蒸溜所ビジターセンター(茨城・石岡市) 国産ウイスキーの魅力発信
茨城県石岡市八郷地区を貫くフルーツライン沿いで、しゃれた片流れ屋根の建物が目を引く。老舗酒蔵の木内酒造(同県那珂市)が、ウイスキー製造事業の一環として、昨年11月、八郷蒸溜所(石岡市須釜)敷地内に開業した。西に筑波山を望む絶好のロケーションの中で、同社製造のボトルウイスキー「日の丸ウイスキー」を中心に、ハムやソーセージなどの販売を行っている。
まず入り口で来店客を迎えるのが、同社の事業内容を紹介する展示ブース。創業200年になる酒造りの歴史をはじめ、自然環境に配慮した企業理念、国産ウイスキー造りに至った経緯などを説いている。その奥で趣を放つのがバーカウンター。壁側の棚には、15種類以上のカラフルなウイスキーボトルが並ぶ。
「筑波山麓の自然豊かな地から、弊社の酒造りの姿勢や国産ウイスキーの魅力を伝えていきたい」。同社マーケティング部ゼネラルマネージャーの萩谷真千子さん(43)は、センターの役割をこう説明する。
2016年、同社はウイスキー製造事業をスタート。20年には、国産原料による真のジャパニーズウイスキーの製造を目指し、同地区に蒸溜所を稼働させた。「地域の穀物文化に根付いたウイスキー造り」を掲げ、主原料の麦は、本社のある那珂市産を使用。今後は、県内の他市町村産にも手を広げていくという。
「農作物があってのウイスキー造り。事業の持続性を考えれば、県産の原料を使う意義は大きい。将来的には地元農業の活性化にもつながってほしい」と萩谷さん。
センターの目玉は、女性スタッフが提供する同社ウイスキーの試飲(有料)だ。バーボン樽(だる)やシェリー樽などさまざまな樽を持つ同蒸溜所ならではの、シングルカスク(単一の樽から瓶詰めされた)ウイスキーを楽しめる。併設されたショップではボトルを購入でき、地元産の豚を使ったハムやソーセージも販売する。筑波山を望める飲食スペースもあり、パンが添えられたハムの盛り合わせなど軽食メニューも充実している。
国産ウイスキー造りは、未来を見据えた息の長い事業。魅力を発信するセンターは、次代の食文化や地方の農業をつなぐ役割を担っていく。
■お出かけ情報
木内酒造・八郷蒸溜所ビジターセンター
▽石岡市須釜1300
▽営業時間は、午前10時~午後5時
▽休業日は、火、水曜(火、水曜が祝日の場合は営業)
▽(電)0299(56)4411