若手8人 日本画大作 最先端の技法や表現 茨城県五浦美術館、23日まで 北茨城 

茨城新聞
2024年9月19日

若手日本画家8人による展覧会「FROM-それぞれの日本画-」が23日まで、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。技法や表現など、令和時代における最先端の日本画の大作22点を展示している。

展覧会は、茨城県の文化や県北地域の振興を図ろうと同館や同市、茨城大などでつくる同館企画展地域連携実行委員会が主催。同市は芸術によるまちづくりを進めており、連携により芸術に関心を持つ層を広げたいとの狙いもある。

「FROM」は出身や所属団体の違う若手作家たちが研究や挑戦、発表を目的に2020年に結成したグループで、展覧会は4回目。同館の小泉晋弥館長の働きかけで初めて同館での開催が実現した。同市五浦は、明治時代に岡倉天心の指導の下、横山大観らが新しい日本画の創出に取り組んだ地で、同グループの作家の意識と共通する部分があるという。

会場では作家の描き下ろし作品を展示し、伝統的な日本画の技法を継承しながらも、現代の感性で自由に表現。韋駄天(いだてん)を題材にした独創的な作品や、画材に青写真用の薬品を使った作品などが並ぶ。

初日の7日には、作家全員によるギャラリートークが開かれた。本年度の「天心記念茨城賞」受賞者でもある山浦めぐみさんは、広島県の厳島と弥山を描いた作品を解説。文字や記号的なモチーフを取り入れ「流れていく風景を表現したい。厳島にまつわる、自分が見ている感覚の中にある風景を描いている」と話した。武田裕子さんは同じ景色を違った視点から描いた2枚で一対の作品を展示。同館での展示に「アトリエにあった時と大作の見え方が違う。ぜいたくな空間だと感じた」とも語った。

同グループの押元一敏さんは「自分たちの大作にかける思いを読み取ってほしい」と話した。入場無料。23日も午後1時から作家3人によるギャラリートークを予定する。