路線バスにガイドが添乗 満足度アップ狙い乗客と会話や乗降支援 日本中央バス、前橋・広瀬線で
路線バスの付加価値を高めようと、日本中央バス(群馬県前橋市下佐鳥町、戸塚博恵社長)は4月から、路線バスへのバスガイド添乗を始めた。市内で運行する自主路線の広瀬線で不定期試行し、需要を調査する。運転手不足や燃料高騰など課題が山積する中での挑戦。同路線の乗降客数は減少傾向だが地元の「足」として頼る利用者は少なくなく、生き残りをかけ試行錯誤する。
バスガイドを務めるのは、同社の貸し切りバスで観光ツアーなどに添乗する従業員。培ったコミュニケーション力を強みに、乗客との会話や乗降支援などをする。運転業務のある運転手では難しかった乗客の要望の聞き取りもし、経営改善にも生かす。
広瀬線は県内最大規模の広瀬団地周辺を走り、JR前橋駅などを巡る。 団地住民らの要望から誕生した路線だが、入居率低下とともに乗降客数も減少。一方、団地住民の平均年齢が上がり、「ライフライン」としての利用も少なくない。
4月上旬には、同団地とショッピングモールやJR前橋駅をつなぐ便に、ツアーバスガイドを務める鹿沼裕美さんが添乗した。
バスに乗った団地に住む女性(78)は運転免許を返納し、買い物に同路線を利用する。「近くのスーパーは閉まり、移動の足がなければ陸の孤島にも感じてしまう」と感謝。鹿沼さんには「話し相手にもなってくれてうれしい」と笑顔を見せた。鹿沼さんは「乗降客を手助けしたい。観光バスだけでは得られない学びもある」と前向きだ。