《食いこ》さかいサンド(茨城・境町) 地元の食材、丸ごと味わう

茨城新聞
2024年4月21日

「さかいサンド」(茨城県境町)のショーケースにずらりと並ぶサンドイッチ。オレンジ、緑、赤、ベージュ、黄色など色とりどりの断面は食欲を刺激し、かぶりつくのがもったいないほど美しい。コンセプトは「境町のおいしいものを丸ごとサンド」。具材に使う野菜や果物のほか、小麦粉に至るまで、できる限り町産にこだわる。味付けに使うドレッシングや酢も店舗が入る「道の駅さかい」で購入できる材料を使用している。

断面から具材がこぼれ落ちそうなほどボリューム満点で、一口で旬の食材を存分に味わえる。町内で採れたグリーンカール、さしま茶葉、イチゴ、ブルーベリー、イチジクなどを直接農家から仕入れる。同道の駅が沖縄県国頭村の「道の駅ゆいゆい国頭」と協定を結んでいる縁もあり、季節限定の同県産マンゴーの商品も人気だ。

パンにもこだわりが詰まっている。挟む具材によって、ミルク食パンに全粒粉食パン、大麦食パン、クロワッサンと合わせる。町産パン用小麦「ゆめかおり」を使用し、店内で粉から製パン。具材の味を邪魔せず、歯切れが良くやわらかい食感の「サンドイッチ用のパン」に仕上げる。季節の果物のタルトに使うタルト台も、町内業者から調達している。

境町産の野菜や果物をふんだんに使ったサンドイッチ

2018年10月のオープンから携わり、現在はメニュー開発などを担当する牛込俊之さん(48)は、フレンチ料理をメインに、本場フランスや東京、広島などで腕を振るった経験を持つ。地元の農産物について、良質な食材を多く見てきた牛込さんは「制約にならないどころか、前面に押し出していける」と胸を張る。

店舗の設計は、国内外で活躍する建築家の隈研吾さんが担当した。板を組んだような印象的な外観、店内でオレンジ色の光を放つまん丸のライトなど温かみを感じるたたずまい。隈さんのファンが訪れ、写真を撮っていくことも多い。

 

建築家の隈研吾氏が設計した店舗

基本的に商品の補充はしないため、店内の品ぞろえは開店直後が最も充実している。開店して5年半が経ち、買いに来られない人のため、病院や工場などに出向いて販売する構想もあるという。牛込さんは「ずっと長く続く店にしたい。ぜひ一度足を運んで、食べてみてほしい」と話した。

お出かけ情報
▽茨城県境町1341の1 道の駅さかい内
▽営業時間は午前10時~午後4時半
▽定休日は年末年始、10月第1月曜、2月第2月曜・火曜
▽(電)0280(81)3101
▽インスタグラムのアカウントはsakaisand