「忠犬タロー」像設置 4月、石岡駅前

茨城新聞
2017年3月22日

石岡市国府1丁目のJR石岡駅前広場に4月、はぐれた飼い主との再会を17年間も待ち続けた「忠犬タロー」のブロンズ像が設置される。元教員など市民有志で組織する顕彰会が全国から資金を募って制作した。整備が進む同駅西口広場の完成に合わせ、据え付けられる。犬と猫の殺処分ゼロに向け、動物愛護精神を広めるため、同15日には除幕式のほか、わんわんパレードも行われる。

タローは1964年、旧鹿島鉄道で幼稚園に通っていた飼い主の女児と同駅ではぐれた。これ以降、約17年間にわたって、迷い込んだ市立東小から同駅まで、約2キロの道のりを毎朝夕通い、女児との再会を待ちわびたとされる。

同校では住み込みの校務員とともに過ごし、多くの小学生、市民に愛されたとのエピソードが残る。当時、その忠犬ぶりは新聞やテレビでも取り上げられ、ドラマや本、歌にもなった。

タローは飼い主との再会を果たせぬまま、81年に死んだ。その後、2009年に飼い主だった女性が名乗り出た。

同駅待合室にはタローの写真がエピソードの紹介文とともに飾られているが、時代とともに地元でも記憶が薄れつつあった。このため、12年に発足した「忠犬タロー顕彰会」(小貫敬雄会長、会員55人)は14年7月の「偲(しの)ぶ会」でブロンズ像作りに向けて動き出し、資金を募った結果、全国から約500万円が集まった。

ブロンズ像は全体の幅が約1・8メートルで、タローと男児、女児がほぼ実物大で再現されている。当時、同校の校務員でタローを世話した松本遊亀夫(ゆきお)さんが1月に91歳で他界。松本さんの葬儀で、同じ時期に同校の校長を務め、同顕彰会顧問の橋本千代寿さん(97)は「あなたがいなかったらタローの姿はなかった」と弔辞を読み上げた。

橋本さんは除幕式にも出席し、思い出を語る予定だ。除幕式は4月15日午前9時半、パレードは同10時から行われる。

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