ユニーク自販機 茨城・つくばに 購入者の意見を商品に 品質向上、PR狙う

茨城新聞
2023年12月31日

茨城県つくば市内にユニークな自動販売機がある。コンサルティング会社「鶴と学び」(同市、吉村千鶴子代表)が展開する「買ってみっぺよつくば」だ。地元企業の食品や小物などを売り、購入者の反応を商品に反映させるテストマーケティングの取り組みで、県内中小企業の商品の品質向上とPRが狙い。吉村代表は「ここから新商品が生まれるのが望み」と話す。

2023年春から同市吾妻のつくばセンター広場・ノバホール前に設置してスタート。自販機をテナントに見立て、1社2商品、計5社による10アイテムを販売している。ここまで3カ月に1度商品を入れ替え、3期まで続いている。

自販機の商品にはテストマーケティングのQRコードを貼り付け、読み取るとアンケート画面に移る。事業者側はアンケートから、購入した日▽性別▽知ったきっかけ▽買った物▽満足度▽総合的な評価-といった内容を知り、購入者からの意見などを商品開発に生かせる仕組み。

テストマーケティングは、新しい商品などを本格展開する前に、限られた場所で試験的に販売し、得られたデータを商品の改善に生かす手法。売れた物に対しての消費者の反応やターゲット層、商品に対しての意見も回収できる利点がある。「(自社商品の)PRの仕方が分からない」「売り方が分からない」といった事業者を支援する側面もある。

試験的な販売のため、販売開始後、反応を見て価格を変えることもできる。これまでに、650円で売れ行きが悪かったカレーを500円に下げた途端に、商品が売れ出したという事例もあったという。「自販機をきっかけに店に足を運んでもらえるという効果も出ている」(吉村代表)。一方、自販機での販売のため、350ミリリットルの缶サイズ(重さ25~350グラムまで)に限られる課題もある。

同社は19年10月に設立。新型コロナウイルスの感染拡大後、非対面の自販機に目を付けた。商品売り上げの10%分や1カ月の委託料を企業から得る。

テストマーケティングは同じ場所で5年間続ける予定で、現在もホームページの募集フォームから参加企業を募っている。吉村代表は「創業を考えている人にも、商品テストの場にしてもらえれば」と期待している。