《いばらき御朱印めぐり》大洗町 大洗磯前神社 神磯の鳥居、美しい朝日 社殿に色鮮やかな彫刻

茨城新聞
2023年12月9日

正月三が日には約20万人の参拝者でにぎわう大洗磯前(おおあらいいそさき)神社。太平洋から昇る初日の出の名所だ。創建から1167年。大洗の神が磯に降り立った様子は、国の正史「日本(にほん)文徳(もんとく)天皇(てんのう)実録(じつろく)」にしっかりと書き残されている。現在の社殿は、水戸藩2代藩主・徳川光圀の命で、3代藩主・綱條(つなえだ)の時代に完成した。創建時から医薬の神として信仰を集めてきた。水平線から昇る朝日が繰り広げる青と赤の世界は、参拝者の心を捉えて放さない。

太平洋を望む海岸には「神磯の鳥居」が立っている。海と神社の間の県道をまたぐ高さ16メートルの「一の鳥居」は関東有数の規模。「二の鳥居」をくぐって約90段の石段を上ると社殿に至る。神社を守護する門守神(かどもりのかみ)を安置した「随身門(ずいしんもん)」は町指定文化財。県指定文化財の拝殿には色鮮やかな彫刻14面があり、奥の本殿は茅葺(かやぶ)きの建物だ。

御朱印は「奉拝」と神社名、年月を墨で書き、朱印を押したシンプルなもの。

 

大洗磯前神社御朱印

「神社参拝の第1のピークは朝日が昇った後の30分後くらい。初日の出の際には下の海岸では携帯電話がつながらないほど」と話すのは、広報担当の飯塚(いいつか)礼寿(ひろとし)さん(53)。元日にはこの神社ならでは、宮司ら数人の神職が朝日を拝む「初日の出奉拝式」を行う。

創建は856年。出雲をはじめ全国各地で国造りをした大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)の2神が、民衆が苦しんでいるのを助けようと東海(常世の国)から戻ってきた、と伝わる。降臨する3年前には流行病が猛威を振るって多数の死者が出ていた。

朝日を受ける大洗磯前神社の「神磯の鳥居」

参拝客の人気を集めるのは「神磯の鳥居」のある海岸。波しぶきと磯、鳥居を記録にとどめる。この鳥居は1959年に設置したそうで「当時、箱根神社の湖上の鳥居を参考に設置した。今思えば鋭い眼力だった」と飯塚さん。

社殿も見どころがいっぱいだ。随身門にはウサギや波が彫られ、拝殿にも色鮮やかな鳥や植物が彫られている。

最近では、ひたちなか市の酒列磯前(さかつらいそさき)神社との2社巡りをすれば幸運を射止められるという〝都市伝説〟もある。とはいえ、病気全快を願う参拝者もいるだろう。心を落ち着かせ参拝したい。(第1土曜日掲載)

■メモ
アクセス:北関東自動車道水戸大洗ICから車で15分。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線大洗駅から徒歩で約40分。
住所:大洗町磯浜町6890
電話:029(267)2637
受付時間:午前8時半~午後4時半
御朱印:500円。御朱印帳への記入を基本に「紙の御朱印」もある。御朱印を押した同神社独自の御朱印帳「神磯の日の出」(2500円)「神磯」(2000円)。
補足:「日本文徳天皇実録」は日本書紀に始まる六国史の一つ。850~858年を記す。

大洗磯前神社

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