参拝者もてなす菓子店 北茨城・花園神社 宮司の妻開業 「地元のお土産に」
ドイツ菓子店が茨城県北茨城市華川町花園にオープンした。花園神社の宮司の妻、神永綾子さん(47)が店を持つ長年の夢をかなえ、夫の知明さん(52)を支えながら神社と店の二刀流で奮闘する。こだわりの菓子で参拝者らをもてなすとともに、「他の地域の人に贈る花園のお土産として、地元の人に広がってほしい」と目標を語る。
同神社に向かう一本道沿いに立つ店の名前は「WALD(ヴァルト) 森のドイツ菓子」。10月中旬にグランドオープンした。焼き菓子やコロネ、プリンなど約20種類を販売する。看板商品はドイツ伝統菓子・フランクフルタークランツ。ミルキーなバタークリームを使ったケーキで、口溶けの良さにこだわった。花園川の銘水を使ったホットコーヒーも味わえる。
綾子さんは同県鹿嶋市出身。子どもの時から菓子作りが好きだった。高校卒業後に製菓専門学校に進学。同県つくば市のケーキ店に就職したが手荒れがひどく、退職した。その後、鹿島神宮で巫女(みこ)として務めた時に知明さんと出会い、結婚した。
鹿嶋市で娘3人の母親として暮らしながら「子どもが大きくなったら、もう一度菓子作りをやりたい」と強く願っていた。5年間ほど、仕事の傍らでバウムクーヘンの受注生産もした。夢の菓子店の実現に向けて2019年から2年間、週末に都内の専門学校に通い、菓子作りを学び直した。
17年に知明さんが花園神社の宮司を継ぎ、22年4月に家族で北茨城市に移住した。神社周辺には土産物店や菓子店がなく、もてなしの思いから店を構えた。花園地区のリンゴを使ったパイも作り「食材で地域の魅力が伝われば」と語る。
現在はテイクアウトのみだが、将来的にカフェスペースも設けたい考えだ。綾子さんは「遠くから神社に参拝に訪れた人が一息付ける場をつくりたい」と意欲を表した。営業は木-日曜、祝日。