福田蘭童の碑が完成 茨城・筑西 「笛吹童子」主題歌作曲 父・青木繁の隣に
真壁郡伊讃村(現茨城県筑西市)出身でNHKラジオドラマ「笛吹童子」の主題歌などを作曲した音楽家、福田蘭童(本名石渡幸彦、1905~76年)の碑が、地元有志の手で市内に完成した。福田の父親は国の重要文化財「海の幸」で知られる洋画家、青木繁(1882~1911年)。その碑と共に「親子の碑」として周知する考えだ。
顕彰碑は高さ約1メートル55センチ。同市甲の児童公園内に青木繁の石碑と並んでいる。「福田蘭童建碑協賛会」が、地元企業の関彰商事会長の関正夫氏の支援を受けて建立した。表には福田の肉筆を基に「月下弄笛(げっかろうてき)」と記し、裏には人物評として、作家の開高健や井伏鱒二といった文化人との交流などに触れている。
福田は青木と恋人の画家、福田たね(1885~1968年)の実子として、伊讃村川島の旅館で生まれた。青木が前年に描いた「海の幸」にちなんで幸彦と命名されたという。2歳で青木と離別し、やがて上京して尺八を習い始めた。ピアノやバイオリンも学び、尺八奏者や作曲家として活動。NHKラジオドラマ「笛吹童子」「紅孔雀」の主題歌などを作曲し、文筆でも才能を発揮した。
協賛会の中心となった元画商の原蒼愁さん(89)=同市=は、福田蘭童と長年交流があったという。これまで青木の碑の建立や、生誕120年記念の「こほろぎ祭」(2002年)などに携わり、福田の碑の建立を目指してきた。
原さんは福田について「邦楽と洋楽の融合を図るなど、音楽文化の向上に取り組んだ」と説明。「以前から親子の碑にすると決めていた。いつかまた、こほろぎ祭を開催したい」と話した。