D51も圧縮空気で自走 2台動態は全国唯一 真岡のSLキューロク館

下野新聞
2017年2月14日

 【真岡】市は13日までに、台町のSLキューロク館敷地内に展示しているSL「D51-146号」(D51)を圧縮空気で約30メートル自走させるD51動態整備事業に3月から着手する方針を決めた。同館では同様の方法で約40メートル走行するSL「9600形」(キューロク)が動態展示されており、整備が終了すれば、圧縮空気で自走するSLを2台保有する全国唯一の施設になるという。2018年3月の完成を目指し、JRグループが同年4~6月に本県で実施する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」で誘客の目玉として活用する考えだ。

 同館のD51は15年、静岡市の城北公園などで展示されていたものを市が静岡市から無償で譲り受け、修復や塗装を施して同館敷地内西側部分で展示している。

 計画では、圧縮した空気で車両を動かすためのエアーコンプレッサーなどを搭載し、現在の係留地点から前方約30メートルにレールを敷設する。石炭や水を使わないのが特徴で、工事はキューロクの動力を整備した鉄道文化協議会群馬支部が行う。

 市商工観光課によると、神奈川県山北町のD52や鳥取県若桜鉄道のC12など、国内で数カ所が空気を動力源にSLを自走させているが、同一施設の2台保有は全国唯一とされる。本県で実施されるDCへ向け、活用法が期待される。

 同館では現在、D51の展示環境向上を目指して屋根の建築工事が進められており、動態整備事業は建築工事終了後の3月着工となる見通し。事業費は約2800万円で、地方創生拠点整備交付金などで国が約1300万円を補助する。

 同課の担当者は「D51とキューロクが空気を使って併走する姿は壮観で、多くのファンに喜んでもらえるはず。DC本番までに関連企画も考案していきたい」と話している。

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