茨城・高萩 通年で花貫渓谷観光へ 市が整備構想策定 展望デッキ、カフェ、川下り

茨城新聞
2023年7月4日

茨城県高萩市は、県内屈指の紅葉スポットとして知られる花貫渓谷の年間を通じた集客、滞在時間の増加を図ろうと、「花貫渓谷利活用・整備基本構想」を策定した。展望デッキやカフェの設置、川下りやキャンプなどのアウトドア体験の充実を盛り込み、通年・滞在型の観光地にし、地域活性化につなげる。

同渓谷は、不動滝や乙女滝、長さ60メートルを誇る汐見滝吊り橋などの見どころがある。市観光商工課によると、2021年の入り込み客数は約22万8千人で、観光客の7割が紅葉のシーズンに集中。駐車場は満車になり、交通渋滞が起きるという。一方で、その他の季節は、観光客が激減。滞在は2時間未満、食事は市外に移動して済ますケースが多いことも課題という。

同構想では、課題解決へ向け、自然景勝地とアウトドアフィールドという同渓谷の二つの特徴から整備、対策を定めた。

自然景勝地としては、不動滝と乙女滝への歩道を改善し、川にせり出す形で、景色を見ながら休憩できる川床デッキを整備し、滞在時間の増加を図る。また、同渓谷駐車場から人気の汐見滝吊り橋までの約800メートルの市道の中間地点にカフェや展望デッキを有する拠点をつくる予定。軽食提供、物販を通じて滞在時間を延ばし、経済の活性化につなげる。

アウトドアフィールドとしては、渓谷での川下り、駐車場でのキャンプや火おこし体験、花貫ダムを活用した水上アクティビティーの導入など定期的なイベントの開催を想定。また、県北ロングトレイルに指定されている土岳登山道に着目し、ガイドを育成し、ツアーを行うことで、新たな客層の取り込みと通年で楽しめる場所にする。

同課によると、夏から秋にかけて、民間業者から意見や新たな提案を受け情報収集し、民間の参入、実現可能性や時期、具体的な内容を検討するという。大部勝規市長は「既存の観光資源に人の力を入れ、市内外から人を呼び込める観光地にしたい」と意気込んだ。