新ビーバー舎完成 茨城・日立市かみね動物園 出産後、夏ごろ展示へ

茨城新聞
2023年6月28日

茨城県日立市宮田町の市かみね動物園に6月、新しいビーバー舎と動物たちや海を望む展望広場がオープンした。飼育中のアメリカビーバーは今月、新居への引っ越し直前に妊娠が判明。新獣舎での展示は出産後の今夏ごろに延期となった。同園でビーバーの繁殖成功は初めて。

新ビーバー舎は昨年6月から、旧猛獣舎跡地を活用した展望広場と一体的に整備を進めてきた。総工費は約1億4500万円。獣舎の床面積は約80平方メートルで、旧展示場に比べて約2倍の広さになった。展望広場は階段式のベンチで約200席ある。

新獣舎は水深約60センチの池や寝室を備え、泳いだり休んだりする姿を目の前で観察できる。水が流れる音に反応し、木や土でダムを作る習性があることを踏まえ、滝のような構造物も設けた。

アメリカビーバーの「コウコウ」(左)と「のぞみ」(日立市かみね動物園提供)

当初は完成に合わせて飼育中の「コウコウ」(雄13歳)と「のぞみ」(雌3歳)の2匹を展示する予定だったが、今月10日の健康診断で、のぞみに妊娠の兆候が見られた。おなかの中には2匹の赤ちゃんがいて、今月中にも生まれる可能性があるという。

園は急きょ、急激な環境の変化を避けることや、ビーバーは雄も子育てに協力的な「イクメン」で知られることから、当面は2匹とも現在の仮住まいで飼育することを決定。出産後、授乳を終えた頃に新しい獣舎に移動させる。

コウコウの前のパートナー「モグモグ」は、2021年に死んだ後、実は雄だったことが判明。のぞみは翌22年春に千葉県の動物園から来園した。コウコウとのぞみは必ず寄り添って眠るなど仲の良い姿で人気を集めてきた。

夏ごろの展示に向けて生江信孝園長は「赤ちゃんのかわいい姿や、子育てする姿、ダムを作る過程などを楽しんでほしい」としている。