群馬の夏祭り、5類移行で「どっと再開」 コロナ、熱中症対策に知恵絞る

上毛新聞
2023年6月19日

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられたことに伴い、群馬県内でコロナ禍前と同規模の夏祭り開催に向けた準備が進む。万人単位の来場者が訪れる市部の祭りは、密集が生じるため2020年以降中止が相次いだが、15万人の人出を見込む尾島ねぷたまつり(太田市)などが4年ぶりに開かれる。7、8月の猛暑の時期で熱中症の発生や感染症の流行への懸念もあり、お祭りムードに水を差さぬよう関係者は対策に知恵を絞っている。

過去3年間中止が続いたが、6月上旬までに開催が決まったのは尾島ねぷたまつりのほか、沼田まつり(沼田市)、館林まつり(館林市)、渋川へそ祭り(渋川市)、藤岡まつり(藤岡市)など。昨年は一部実施だった桐生八木節まつり(桐生市)は4年ぶりの全面開催となり、中心街に大勢の踊り手が集まる八木節おどりなど全ての行事を行う。

規模の縮小や制限を設けた上で昨年再開した前橋七夕まつり(前橋市)、高崎まつり(高崎市)、鬼石夏祭り(藤岡市)、大間々祇園まつり(みどり市)なども通常開催となる予定だ。

コロナ禍で祭りは中断していたが、関係者は伝統文化の灯を絶やさぬよう、地道な活動を続けてきた。

尾島ねぷたでは、継承団体が県内外のイベントに出演したり、青森県弘前市のねぷた団体とリモートで交流をしたりしてきた。太田尾島小の児童はねぷたを制作し、校庭で運行。上州ねぷた会の南雲智康会長は「本番がないと、会員をつなぎとめることは難しい。モチベーション維持にも祭りが開かれ、良かった」と今年の本番を心待ちにする。

ただ、5類移行で新型コロナの脅威がなくなったわけではなく、主催者は感染抑止を念頭に準備している。尾島、館林、藤岡の祭り会場で消毒液を設置予定であるほかは、イベントの分散や密集の回避策が検討されている。

前橋七夕まつりは中心商店街で行っていたイベントを、広瀬川河畔緑地とJR前橋駅前の3エリアに分散して開く。実行委員会は「一極集中をなくし、前橋の良いスポットを周遊してもらえることになる」と期待する。

へそ祭りは、おなかに絵を描いた参加者らがパレードするが、実行委事務局の渋川商工会議所は「感染状況次第で、パレードの隊列の間隔を空けることが想定される」としている。

厳しい暑さが予想され、祭りの簡略化や開催時間の短縮、変更なども検討されている。八木節まつりでは行事の一つ「桐生祇園祭」のみこし渡御で、行列の縮小と各町役員の衣装の簡素化が決まった。日中に実施する仮装パレード「ジャンボパレード」は天気予報の予想最高気温に基づき、実施6日前に開催の可否を判断する。

沼田まつりは実行委による行事の開始時間を、従来の午後1時半から遅らせる。

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