群馬・みどり市で人気の老舗「山本屋」が閉店「もうやり切った」 看板メニューは手打ちのカレーうどん
約120年の歴史を持ち、看板メニューのカレーうどんに多くのファンがいる山本屋(群馬県みどり市大間々町大間々)が5月28日、老舗ののれんを下ろした。5代目店主の斎藤寿崇さん(44)の腕の痛みが悪化したことに加え、店舗の老朽化あって閉店を決断した。
20年前、先代で祖父の福光三郎さんが亡くなったのを機に、斎藤さんが老舗を引き継いだ。手打ちの麺に汁が絶妙にからまるカレーうどんを看板メニューに掲げ、多くのファンを獲得。朝5時から手打ちめんの仕込み作業を続けた。
「手間をかけると味はまったく違う。機械ではできない」と手打ちにこだわってきた。「東毛ご当地グルメグランプリ2012」では総合グランプリを受賞。人気に拍車がかかった。ただ、1人だけの仕込み作業は、徐々に体の負担となっていた。
平日は店主のほか従業員1人、週末はアルバイト1人が加わる少人数体制で、下げ膳は客のセルフサービスに頼っている。国道122号に面した細長い店内は、老朽化が目立つようになった。斎藤さんは「もう、やり切った」と4月下旬、店内に閉店のお知らせを張り出した。
閉店の情報は店を訪れた客の交流サイト(SNS)から徐々に広まり、みどり市が運営する観光情報SNSで取り上げられたことを機に、一気に拡散した。開店前から駐車場が満杯になり、店先には連日、入店待ちの列ができている。斎藤さんは「ひっそりと閉店するつもりだった。アイドルのように花束をいただいたりして、恐縮している」と照れた。