岸田劉生の軌跡紹介 洋画や日本画、一堂に 茨城・笠間日動美術館

茨城新聞
2023年4月2日

まな娘を描いた「麗子像」で知られ、大正から昭和にかけて活躍した岸田劉生の画業をたどる企画展「画家 岸田劉生の軌跡」が、茨城県笠間市笠間の笠間日動美術館で開かれている。洋画、日本画、版画、挿絵など、同館のコレクションを一堂に並べ、作風の変遷や多彩な才能に迫る。

岸田は1891年、東京・銀座生まれ。17歳で白馬会洋画研究所に入り、黒田清輝に師事した。外光派の画風を学び、印象派の影響や写実を試みた後、浮世絵や中国の宋元画など東洋的な美に傾倒。1920年ごろから日本画を描くようになった。

同展は、岸田の初期から晩年までの作品約160点を紹介する。洋画では風景や静物、人物、自画像など年代により画風の変化が際立つ。岸田の象徴といえる麗子シリーズは、モデルにした最後の作品「麗子十六歳之図」(4月6日まで)が展示されている。

岸田劉生「村娘之図」(1919年、笠間日動美術館蔵)

 

岸田は洋画と日本画という異なるジャンルを描きながら、「内なる美」を追求した。あえてデフォルメを加えたり、挑戦の跡が見える。麗子と並び作品が多い「村娘」も表情や描かれ方はさまざま。

同館学芸員の川崎みなみさんは「自分自身と向き合う中で、人間の本能を含めて表現したのではないか」と話している。

同展では、本の装丁画や挿絵も充実しており、見どころの一つとなっている。

4月23日まで。午前9時半~午後5時。月曜休館。